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  • 更新日:2020年07月29日

コロナ禍で国内のCtoC市場の中古スマホ取引数はどのように変化したのか

コロナ禍で国内のCtoC市場の中古スマホ取引数はどのように変化したのか

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2020年4月24日(金)にAppleから発売された新型iPhone SE(第2世代)は、キャリア各社揃って5月11日(月)に延期されました。

キャリア各社が発売を延期したのは、新型iPhoneの購入を求めて各キャリアショップに人が密集するのを避けるためです。

Android市場では、キャリア各社のキャンペーン・端末割引の大きな実施はなかったものの、2020年第2四半期の取引数は過去最大の伸長となりました。

Android市場はどのような要因で取引数を大きく伸ばしたのでしょうか。

本記事では、中古スマホ市場で取引量の多かった端末をランキング形式でご紹介しています。

中古スマホを使って賢い消費をしたい方は、ぜひ参考にしてください。

※フリーマーケットアプリやインターネットオークション等主要4サイトの取引実績により抽出した価格情報を元に、2020年第1四半期と第2四半期を比較しています。

iPhone SE(第2世代)の発売により新古品の取引数が増加

iPhone第2四半期

2020年第2四半期のiPhone全体の取引数は、前四半期と比べて3.5%減少したものの新古品が増加しました。

商品状態の内訳は、新古品が0.4%増加、中古品が4.0%減少しています。

iPhone全体の取引数が減少したのは、新型iPhone SE(第2世代)のSIMフリー版が4月24日(金)、キャリア版が5月11日(月)にそれぞれ発売されたためだと考えられます。

新型iPhone SE(第2世代)は、外観はiPhone 8さながらで、価格は4万円台とiPhone史上最安値となっています。

ミドルレンジモデルの価格帯で購入できるiPhone SE(第2世代)に乗り換えるユーザーが増え、中古市場でiPhoneを購入するニーズが減少したためだと推測できます。

中古iPhoneランキングの1位~3位は、iPhone 8 64GB(au,ドコモ,ソフトバンク)でした。

中古市場で取引されたiPhone 8の平均価格は25,277円と、前四半期の平均取引価格から25%~30%減少しています。

2020年第2四半期のiPhone 8の取引総数は、前四半期から1.6%増加しているものの、新古品の取引数は48.7%減少しました。

例年、キャリア各社は第1四半期にキャンペーンを開催するため新古品の取引数は増加します。

一方、キャリア各社は第2四半期にキャンペーンを控えるため、新古品の取引数は落ち着くもしくは減少する傾向で、例年通りと言えます。

▼iPhone 8 64GB 目立った傷汚れのなし品の相場価格(四半期推移)

iPhone 8の取引推移

iPhone 8 64GBの目立った傷汚れの無い端末で見ると、通常、各四半期ごとに10%ほど価格下落する傾向ですが、2020年第2四半期では23.4%減少しており、平均価格は24,500円となっています。

これは、iPhone 11シリーズが発売された昨年2019年第3四半期と比べると、40%近く減少しているため、スペック・価格面から見て、iPhone 8はiPhone SE(第2世代)と比較検討されることが多かったのが要因と考えられます。

10位のiPhone 6s 64GB(au)は、傷汚れのある端末が多く取引されながらもランクインしています。

最新iOS 14にも対応しており、今後も対応予定とのリーク情報もあるので継続利用できる端末といえそうです。

ドコモの価格改定で今四半期取引数が過去最大に

Android第2四半期

2020年第2四半期のAndroid全体の取引数は、前四半期と比べて17.8%増加しました。

商品状態の内訳は、新古品が67.4%増加、中古品が4.6%増加しています。

Android全体の取引数の大幅な増加に貢献したのは、4月1日(水)よりドコモオンラインショップで実施された対象端末の販売価格の値下げ・ポイント還元だと考えられます。これが新型コロナウイルスよりも今四半期に大きな影響を与えていると言えます。

なお、ドコモオンラインショップでの端末値下げの対象端末は3機種取引されています。

1位のGalaxy A20は、2019年10月25日に発売された2万円台で購入できるエントリーモデルのスマホです。

Galaxy A20の発売から8ヵ月ほど経過しましたが、依然として中古市場では新古品を中心に取引されています。

前四半期の平均取引価格は12,111円だったため、2,000円ほど価格を落として取引されているので、安価にスマホを購入したいユーザーニーズが増加したためだと考えられます。

6位のXperia 1は、前四半期と比べて平均価格が大幅に減少しました。

5月22日(土)に発売された5G対応スマホ「Xperia 1 ii」の発売が影響していると考えられます。

Xperia 1 iiは、特徴的な21:9の有機EL画面をXperia 1から継承し、カメラは新たに「a」シリーズの操作性や高速連写機能を搭載しています。

Xperia 1の平均価格は前四半期と比べて2万円ほど価格を落として取引されています。

中古市場では新古品を中心に取引され、新古品の価格の下落により中古品の価格も下落したと考えられます。

これは、Xperia 1 iiの発売によってXperia 1へのニーズ低下を恐れた販売店が一斉処分を行ったと推測できます。

8位のHUAWEI P30 Proは、2020年4月1日(水)よりドコモオンラインショップで大幅に値下げされました。

中古市場で取引されたHUAWEI P30 Proの新古品の平均価格は、前四半期と比べて3万円近く下げた状態で取引されました。

HUAWEI P30 Proは、2019年9月13日にドコモの夏モデルとして発売され、標準・超広角・光学5倍ズームレンズの3眼カメラが特徴のミドルレンジモデルです。

HUAWEI P30シリーズ以降に発売された端末は、2019年の米中摩擦問題によってGoogleのサポートを終了したため、新しく開発する端末にGSMを搭載できないことになりました。

ドコモは、HUAWEI P30 Pro以降のHUAWEI端末の取り扱いを中止しており、au・ソフトバンクも現行最新端末の取り扱いを中止しています。

▼HUAWEI P30 Pro 128GB 中古品の取引数・相場価格推移(2019年9月-2020年7月)

HUAWEI P30 Proの取引推移

▼HUAWEI P30 Pro 128GB 新古品の取引数・相場価格推移(2019年9月-2020年7月)

HUAWEI P30 Proの取引推移

HUAWEI P30 Proの商品状態は新古品が85.7%となっており、ドコモオンラインショップで購入したユーザーが転売し、取引量が増加したと考えられます。

※GSM:第2世代携帯電話機の通信方式規約の一つ。現時点では、世界でもっとも普及している方式です。

外出自粛によりタブレット端末の取引数の増加に牽引

iPad第2四半期

2020年第2四半期のiPad全体の取引数は、前四半期と比べて13.1%増加しました。

2020年4月~7月は、新型コロナウイルスの影響によってテレワークを採用する企業が増えたため、タブレット端末への需要が増加したと考えられます。

また、感染拡大防止のため政府より外出自粛が要請される中、スマホよりも大画面なタブレット端末で動画視聴をしたい層の需要増加により、取引数を伸ばしたといえます。

中古iPadランキングの1~3位は前四半期と変化はないものの、新古品を中心に23,000~26,000円台で取引されました。

新型コロナウイルスによる需要増加だと仮定すると、普段からタブレット端末を購入・使用しておらず付加的に購入しており、予算感は2万円台に集中していると推測できます。

8位のiPad Airは2013年に発売されたモデルで、商品状態は傷汚れのある端末を中心に取引されています。

iPad Airは、前四半期と比較すると取引数は伸びているものの、1年前からは約30%ほど取引数が減少しています。

状態の悪い端末が7~8割であるため、相場価格は安いものの取引数は伸び悩んだと考えられます。

総評

2020年第2四半期は、Appleとキャリア各社から新型iPhone SE(第2世代)が発売されました。

iPhone SE(第2世代)は、iPhone 8と同様のインチ数で、iPhone 11 Proに採用されている最新A13チップが搭載された4万円台の低価格スマホです。

iPhone SE(第2世代)の発売は、2020年第2四半期の新古品の取引数増加に影響を与えました。

これは、iPhone SE(第2世代)に乗り換えるユーザーが増加し、中古市場でiPhoneを購入するニーズが減少したためだと考えられます。

2020年第3四半期には、2020年第3四半期の7-7月には、9月に発売を控えている次期モデルiPhone 12シリーズの買い控えが起こると予想されます。

iPhone 12シリーズは2018年第3四半期に発売されたiPhone XS/Maxに並ぶハイエンドモデルです。

iPhone XS/Maxが発売された9月の全体取引数は8,743台となっており、発売前月と比べると2,924台増加しました。

これは、iPhone XS/Maxの発売に向けて、乗り換えるユーザーのニーズが増加したためだと考えられます。

2020年第3四半期にはiPhone 12シリーズが発表・発売されるため、iPhone全体の取引数が増えるのではないかと予測されます。

また、iPhone 12シリーズに並ぶハイエンドモデルiPhone XS/Maxの現在の平均取引価格は7万円前後となっており、中古スマホ市場では高止まりしています。

2020年第3四半期には、iPhone XS/Maxの平均取引価格の変動についても言及していきます

2020年第2四半期の中古Android市場では、2020年春夏モデルとして発売された5G対応スマホが取引されており、シェア率は0.6%でした。

2019年10月以降、総務省の方針によって、端末と携帯回線のセット販売での割引額は上限2万円までとなりました。

また、キャリアの各社の「2年縛り」を緩めていた解約料金が無料もしくは1,000円に引き下げられたことで、2年サイクルで乗り換える必要が無くなりました。

例年の中古市場では、1~2世代前のモデルが活発に取引されていましたが、端末の割引額が2万円に制限されたことによって、エントリーからミドルレンジモデルの取引が中心となっています。

新品Androidとして販売される端末は、エントリーからミドルレンジモデルにシフトしてきているため、新品スマホに乗り換えるハードルが上がっています。

しかし、5G対応スマホは10万円以上のハイエンドモデルが中心なので、端末割引規制の影響で価格が下がりにくくなっています。

5G対応スマホが中古スマホ市場での取引数に大きな影響を与えるのはまだ先となりそうです。

【iPhone格安SIM通信について】

アナリスト 菅野 辰則 ― ライター
アナリスト 菅野 辰則 ― ライター

1983年生まれ。株式会社マーケットエンタープライズ  中古モバイル市場アナリスト
ソフトウェア開発会社にて、開発業務からスタートし、新会社設立時のWebマーケティング全般の業務を担った後、2010年にマーケットエンタープライズに入社。 当社でWebマーケティングの責任者や経営企画を担当後、現在は、メディア・プラットフォーム事業の責任者に従事する。膨大なデータの分析・管理能力を活かして、中古モバイル市場の動向を分析するアナリストも兼任する。