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  • 更新日:2021年04月28日

ahamo・povo・LINEMO開始を前に買い控え増加?iPhone・iPadはSIMフリー版が好調か

ahamo・povo・LINEMO開始を前に買い控え増加?iPhone・iPadはSIMフリー版が好調か

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ahamo、povo、LINEMOの登場や楽天モバイルの新プラン発表など、通信業界の動きが活発だった1月〜3月。

1GBまで0円、20GBで2,000円台という格安料金に対抗すべく、各社の料金プランも刷新されました。

これらの動きを受け、中古スマホ市場の取引量に変化はあったのでしょうか。中古スマホ市場で取引量の多かった端末をランキング形式で解説していきます。

※フリーマーケットアプリやインターネットオークション等主要4サイトの取引実績により抽出した価格情報を元に、2020年10月~12月と2021年1月~3月を比較しています。

新品iPhone SE(第2世代)が取引量を底上げ

iPhone全体の取引量は、2020年10月〜12月に比べ0.6%増加しました。

商品状態の内訳は新古品が3.7%、中古品が0.2%と新古品の増加幅が大きいです。

新古品の中でも特に変化が大きかったのは、iPhone SE(第2世代)です。1月〜3月にかけて取引量が増加し、iPhone全体の新古品取引量を押し上げました。

iPhone SE(第2世代)の取引量増加に伴い、ランキング上位のラインナップも変わっています。

前回はiPhone 8とiPhone 7がランキング上位を独占していたのに対し、今回はiPhone SE(第2世代)が9位に食い込んでいます。

iPhone SE(第2世代)は元々の価格が安いことに加え、1月〜3月にかけて各社で割引キャンペーンが実施されていました。

転売目的で購入された新古品のiPhone SE(第2世代)が中古スマホ市場に流れ、TOP10にランクインしたと考えられます。

通信キャリア別に取引量の変化を見ると、SIMフリー版の取引量が大きく増えました

2020年10月〜12月に比べ、2位のiPhone 8 64GBが54%、11位のiPhone SE(第2世代)64GBが134%増加しています。SIMフリー版の取引量は、2020年7月〜9月から増加傾向です。

同じ機種・同じ容量で比較した場合、キャリア版よりもSIMフリー版の方が2,000円前後平均価格が高いです。

SIMロック解除の手間がなくどの携帯会社でも使えることから、今後もSIMフリースマホの需要は高まると予想されます。

新ブランド開始を前に中古Androidは取引数減少

iPhoneの取引量が増加していたのに対し、Androidの取引量は2.4%減少しています。新古品1.3%の増加分を中古品の減少分が打ち消し、全体として取引量が減少しました。

新古品のほとんどは、ヤフーオークションで同一事業者が出品したAQUOS sense3 basicです。

在庫処分等で新品のAQUOS sense3 basicが大量出品され、新古品の取引量が大きく増加しました。取引量が増えたことで、AQUOS sense3 basicは4位から1位に躍進しています。

その他にもGalaxy A21、OPPO Reno3 A、Pixel 5が各社の割引対象となって取引数を伸ばし、圏外からTOP10にランクインしました。

中古品の取引量減少について、特に顕著なのは2021年2月です。

3月の機種変更シーズンを前にした買い控えに加え、大手キャリアの新ブランドが登場が影響していると考えられます。

新ブランドとは、ドコモの「ahamo」、auの「povo」、ソフトバンクの「LINEMO」のことです。

キャリアに比べ料金が安いため、3月のサービス開始を前に機種変更や乗り換えを控える動きが強かったのではと思われます。

iPad需要は落ち着くも、SIMフリー版が大幅増加

2020年10月〜12月に比べ、iPad全体の取引量は3%増加しました。

前四半期と比べると微増していますが、中古市場におけるiPadの取引量は落ち着いてきています。直近で最もiPadの取引量が増えたのは、2020年4月〜7月です。

4月7日に緊急事態宣言が発令されたことで、iPad取引量が大きく増加しました。それ以降は微増・微減を繰り返しながら、一定の取引量を保っています。

今後iPadのニーズは落ち着いていくと思われますが、5月には新型iPad Proの発売が予定されています。

例年新型iPad発売後は、中古の型落ち機種の取引量が増える傾向です。そのため、2021年4月〜7月のiPad取引量も増加すると予想されます。

通信キャリア別に見ると、キャリア版が1%減少しているのに対しSIMフリー版は73%増加していました。

iPhoneにおいても同様の傾向が見られたため、中古スマホ市場全体でSIMフリー版の需要が高まっているといえそうです。

総評

2021年の1月〜3月は、通信業界に様々な変化があった時期です。

1月に楽天モバイルが新プランを発表、3月にキャリアが新ブランドを開始。

キャリアの新ブランドであるahamo・povo・LINEMOは、オンライン申し込みに限定することで格安料金を実現しました。

キャリアが提供している点でオンラインに対する心理的ハードルも下がり、今後オンラインでの乗り換えは徐々に増えていくと思われます。

さらにオンライン乗り換えを後押しするよう、大手キャリアと一部格安SIMはMNP転出手数料を無料化しました。

MNP転出手数料とは、電話番号を変えず乗り換えるために必要な手数料のことです。

4月1日より多くの携帯事業者で無料化が進んでおり、乗り換えの追い風となるのではないでしょうか。

オンラインでの乗り換えが増えていった場合、端末の購入先も変化すると予想されます。これまでは、乗り換えと同時にキャリアで端末を購入する動きが一般的でした。

ですがahamo・povo・LINEMOや楽天モバイルは、キャリアよりも取り扱い端末が少ないです。

そのため自分でスマホを用意し、SIMカードだけ契約する動きも増えていくと考えられます。現にiPhone・iPadではSIMフリー版の取引量が増えており、オンライン乗り換えの活性化と共にSIMフリー版の需要も高まると思われます。

SIMフリー端末を筆頭に、今後の中古スマホ市場の取引量がどのように変化していくのか注目です。

アナリスト 菅野 辰則 ― ライター
アナリスト 菅野 辰則 ― ライター

1983年生まれ。株式会社マーケットエンタープライズ  中古モバイル市場アナリスト
ソフトウェア開発会社にて、開発業務からスタートし、新会社設立時のWebマーケティング全般の業務を担った後、2010年にマーケットエンタープライズに入社。 当社でWebマーケティングの責任者や経営企画を担当後、現在は、メディア・プラットフォーム事業の責任者に従事する。膨大なデータの分析・管理能力を活かして、中古モバイル市場の動向を分析するアナリストも兼任する。

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