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  • 更新日:2021年01月28日

新型コロナウイルスはSIMフリーやiPadにも影響ー通信料金値下げで回線と端末の分離化が顕著に

新型コロナウイルスはSIMフリーやiPadにも影響ー通信料金値下げで回線と端末の分離化が顕著に

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本記事では、中古スマホ市場で取引量の多かった端末をランキング形式でご紹介しています。

中古スマホを使って賢い消費をしたい方は、ぜひ参考にしてください。

※フリーマーケットアプリやインターネットオークション等主要4サイトの取引実績により抽出した価格情報を元に、2020年7月~9月と2020年10月~12月を比較しています。

人気は変わらずiPhone 8、新型コロナウイルスの影響はSIMフリーにも

中古スマホランキング

2020年10月~12月のiPhone全体の取引数は、2020年7月~9月と比べて16.1%増加しました。

商品状態の内訳は、新古品が13%増加、中古品が16.5%増加しています。

iPhoneの新古品の増加は、2020年4月に発売されたiPhone SE(第2世代)の取引数が起因しています。

iPhone SE(第2世代)は、見た目はiPhone 8さながらで、iPhone 11と同様のチップを採用し、価格は4万円台のミドルレンジスマホとして人気を集めました。

2020年7月~9月と比べて、取引数が最も増加したのはau版のiPhone SE(第2世代)で、SIMフリー端末もやや増加傾向です。

iPhoneの中古品の増加端末はランキング上位のiPhone 8に加えて、iPhone 11にもみられました。

これは、2020年10月より順次発売されたiPhone 12シリーズの発売によって、機種変更をしたユーザーが多かったからだと考えられます。

新型iPhone 12シリーズは、 ベーシックモデル「iPhone 12」をはじめ、上級モデルの「iPhone 12 Pro」、大画面でハイエンドモデルの「iPhone 12 Pro Max」と前モデルと同様3モデルに加えて、iPhone 12より小さいサイズの「iPhone 12 mini」を新たに投入し、全4モデルのラインナップとなっています。

iPhone 12シリーズの最大の特徴は、第5世代移動通信システム「5G」への対応、iPhone 5/5sを彷彿させる角ばったフラットなデザインの採用です。

iPhone市場のトップ3の顔ぶれは2020年4月~7月、2020年7月~9月と変わらず3キャリアのiPhone 8 64GB。

iPhone市場全体の取引数増加につながったのは、8位のiPhone 8 64GB(SIMフリー)、9位のiPhone 7 128GB(SIMフリー)の2端末です。

SIMフリー版のiPhone 7とiPhone 8は主にフリマ市場で取引されており、iPhone 8取引数の2020年7月〜9月と比べて184%増、昨対で280%増、iPhone 7取引数の2020年7月〜12月と比べて156%増、昨対で171%増となっています。

この背景には、新型コロナウイルス感染拡大の勢いが止まらないことを理由に実店舗を避け、フリマ市場を利用して端末を転売・販売するユーザーや事業者が増加していると推測されます。

Androidは大幅に順位変動、値下げによる新古品取引が増加

中古スマホランキング

2020年10月~12月のAndroid全体の取引数は、2020年7月~9月と比べて6.4%減少しました。

商品状態の内訳は、新古品が19.9%増加、中古品が2.6%増減少しています。

Androidの新古品の増加は、4位のAQUOS sense3 basic(au)の取引数が起因しています。

AQUOS sense3 basicは、2020年7月にauとUQモバイルから春夏モデルとして発売されたモデルです。

AQUOSシリーズの2019年秋冬モデルとして発売された「AQUOS sense3」の廉価版ですが、4,000mAhの大容量バッテリーやIGZOの省エネ高精彩ディスプレイはそのままで、2万円台のエントリーモデルとして人気を集めました。

AQUOS sense3 basicは、2020年7月にauオンラインショップで27,830円から22,000円に値下げされたことをきっかけに、9月から徐々に取引数を伸ばし、12月にかけて取引数が増加しました。

AQUOS sense3 basicはauの残価設定型プログラム「かえトクプログラム」対象端末で、適用時には残価が4,290円に設定されているため、実質17,710円で購入できます。

また、2020年11月には新作秋冬モデル「AQUOS sense4」が発売されたことで、旧モデルから機種変更した下取り端末が市場に流通したと考えられます。

3位のAQUOS zero2(ソフトバンク)も、AQUOS sense3 basicに次いで新古品の取引数の増加に起因しています。

AQUOS zero2は2020年3月に発売された9万円台のハイエンドモデルモデルで、CPUにはSnapdragon 855を搭載し、世界最軽量を謳っていた前モデルのAQUOS zeroと比べて5g軽い141gのゲーミングスマホとして人気を集めました。

ソフトバンク版のAQUOS zero2は、2020年9月にソフトバンクオンラインショップで95,040円から21,984円への大幅値下げをきっかけに、転売目的で購入したユーザーが増加したと考えられます。

Androidの中古品の減少は、2020年7月~9月にランクインしたGalaxy A20の取引数が起因しています。

2020年7月~9月には、電気通信事業法改正の端末割引2万円の規制の中でも、Galaxy A20は一括0円に近い価格で手に入れられるスマホとして注目を集めました。

2020年秋冬モデルも順次発売されているため、Galaxy A20へのニーズが減少したためだと考えられます。

Android市場全体の取引数が減少したのは、2020年秋冬モデルの発売が起因していると推測します。

Android市場の10月~12月の取引数は減少トレンドで、昨対でみても減少しており、キャリア各社の商戦期にあたる4月~7月にはAndroidの取引数が増加傾向です。

そのため、この傾向が継続されれば2021年4月~7月には、Android市場全体の取引数が増加すると考えられます。

緊急事態宣言による巣篭もりでiPadは価格高騰も、勢いは下火に

2020年第3四半期のiPhone全体の取引数は、前四半期と比べて83%減少しました。

▼iPad取引数・価格(2019年1Q~2020年4Q)

中古iPadランキング

iPad市場全体の動向を2019年1月より見てみると、2019年7月~9月に中古iPad全体の取引数が増加し、価格相場が下落しているのがわかります。

これは、2019年9月に発売されたiPad(第7世代)の影響だと考えられます。

iPad(第7世代)は、低価格であるものの前回モデルiPad(第6世代)から大幅なスペックの刷新はありませんでした。

そのためもあり、中古市場でiPad(第7世代)と同等の価格帯で購入できるハイスペックのiPad Proシリーズ、Airシリーズを中心に取引数を伸ばしたと考えられます。

例年、iPad市場は、新モデル発売のタイミングで、取引価格のピークを迎える傾向がありますが、それまで上昇していたiPadの取引価格は、9月の最新端末の発売を待たず、4月〜7月にピークを迎えました。

前年7月〜9月と比較すると、端末取引数は概ね同じだったものの、2020年4月〜7月の取引価格が大きく上昇しているのがわかります。

これは、2020年4月に新型コロナウイルス感染拡大防止を目的に発出された緊急事態宣言により、在宅勤務やオンライン授業の需要が増えたことに起因しています。

市場の取引価格が高騰しているのは、供給量に対して需要が増加したためでしょう。

しかし、緊急事態宣言が解除された2020年7月〜9月には、テレワークの実施率が下がったり、学校が再開されたため、端末の価格高騰は見られませんでした。

総評

菅首相が掲げた携帯通信料金の見直しで、キャリア各社が料金プランを改定し、2020年末から2021年はじめにはメインブランドとして、ドコモ「ahamo」、ソフトバンク「LINEMO」、au「povo」が発表されました。

これらのブランドは全て、実店舗では契約できないオンライン専用のブランドで、携帯通信料金の見直し提言を受けたシンプルで安いプランが特徴です。

また、MNP転出手数料の無料化や、5Gの料金プランにも対応しており、今後は自分にあった通信会社と料金プランを考えて選択する消費者が増えてくるのではないかと推測しています。

この流れは、2020年10月〜12月にiPhone市場の新古品増加要因で見られた「SIMロック解除品の取引」という点にも繋がっています。

今後は、電気事業法改正後の規制緩和によってSIMロック解除がしやすくなったこともあり、回線と端末の分離化がより顕在化し、中古スマホの取引がさらに増加していくことが予想されます。

取引数増加が見込まれるのは、スマホだけではありません。今年に入ってから、さらなる新型コロナウイルス感染拡大を受けて、1都2府8県を対象に2度目の緊急事態宣言が発出されました。

これにより、今後はテレワークやオンラインでの授業導入が増えていくことが予想されます。

これまで導入していなかった企業や学校が、オンライン化していけば、iPad導入の流れは、1度目の緊急事態宣言発出時同様に加速していき、需要の高まりと共にiPadの取引数も増加していくことが予想されます。

【iPhone格安SIM通信について】

アナリスト 菅野 辰則 ― ライター
アナリスト 菅野 辰則 ― ライター

1983年生まれ。株式会社マーケットエンタープライズ  中古モバイル市場アナリスト
ソフトウェア開発会社にて、開発業務からスタートし、新会社設立時のWebマーケティング全般の業務を担った後、2010年にマーケットエンタープライズに入社。 当社でWebマーケティングの責任者や経営企画を担当後、現在は、メディア・プラットフォーム事業の責任者に従事する。膨大なデータの分析・管理能力を活かして、中古モバイル市場の動向を分析するアナリストも兼任する。