ホームルーターでリモートワークはできる?Web会議に必要な速度と選び方
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リモートワークが広がるなか、自宅のネット環境をどう整えるかは多くの方が直面する課題です。
- Web会議の映像や音声が途切れないか不安
- 光回線の工事を待つ余裕がない
- ホームルーターで業務に耐えられるのか判断がつかない
本記事では、ホームルーターでリモートワークができるかどうかを通信速度・安定性・セキュリティの3つの観点から整理し、光回線との違いや快適に使うためのポイントまで解説します。
この記事のポイント
- Web会議に必要な通信速度は下り10〜30Mbps・上り5〜10Mbps程度で、ホームルーターでも条件次第で対応できる
- 光回線とホームルーターは「安定性」と「導入スピード」で選び分ける
- 業務利用ではWi-Fiの暗号化方式やVPN接続などセキュリティ対策が欠かせない
目次
ホームルーターでリモートワークできる?速度と向き不向きを整理する
結論から言うと、ホームルーターでもリモートワークは可能です。ただし、どんな業務をするかによって必要な通信速度は異なります。まずは用途ごとの速度目安と、ホームルーターの実力を確認しましょう。
通信速度とは、1秒間にどれだけのデータをやり取りできるかを示す数値です。単位はMbps(メガビーピーエス)で、数字が大きいほど速くなります。リモートワークで使う主なツールと速度の目安は次のとおりです。
| 用途 | 必要な速度の目安(下り) |
|---|---|
| メール・チャット | 1Mbps |
| クラウドストレージ(ファイル共有) | 5〜10Mbps |
| リモートデスクトップ | 5〜10Mbps |
| Web会議(Zoom・Google Meetなど) | 10〜30Mbps |
| 大容量ファイルのアップロード | 30Mbps以上 |
Web会議では映像と音声を同時に送受信するため、下り(受信)だけでなく上り(送信)にも5〜10Mbps程度の速度が必要です。画面共有を使う場合はさらに余裕を持っておくと安心でしょう。
ホームルーターの実測速度はどのくらい出るか
ホームルーターとは、コンセントに挿すだけでWi-Fiが使えるようになる据え置き型の通信機器です。モバイル回線(スマホと同じ電波)を使ってインターネットに接続します。
ホームルーターのパッケージや公式サイトには「最大4.2Gbps」のような数値が記載されています。これはベストエフォート値と呼ばれる理論上の最大速度で、実際の速度(実測値)はこれよりかなり低くなります。
主要なホームルーターの実測速度の目安を見てみましょう。
| サービス | 下り実測の目安 | 上り実測の目安 |
|---|---|---|
| ドコモ home 5G | 150〜250Mbps | 15〜25Mbps |
| SoftBank Air | 50〜100Mbps | 5〜10Mbps |
| au ホームルーター 5G / WiMAX | 80〜150Mbps | 10〜20Mbps |
※実測値は利用環境・時間帯・エリアによって大きく変動します。上記は一般的な目安であり、公式の保証値ではありません。最新の速度情報は各公式サイトでご確認ください。
下りで50Mbps以上出ていれば、Web会議を含むほとんどのリモートワーク業務は問題なくこなせます。ただし、上りが5Mbps前後しか出ない環境では、大容量ファイルのアップロードや画面共有がもたつく場面があるかもしれません。
ホームルーターにはリモートワーク用途としてのメリットとデメリットがはっきりしています。両面を理解したうえで、自分の働き方に合うかどうかを判断しましょう。
向く理由:工事不要でその日から使える
ホームルーターの最大の利点は、開通工事が不要なことです。光回線の場合、申し込みから開通まで2週間〜2か月ほどかかることがあります。一方、ホームルーターは端末が届いたらコンセントに挿すだけで、その日からWi-Fiが使えます。
急にテレワークが決まった方や、引っ越し直後でまだ光回線が通っていない方にとって、すぐにネット環境を整えられる点は大きなメリットです。
そのほかにも次のような利点があります。
- 賃貸で回線工事の許可が下りない場合でも導入できる
- 月額料金が光回線とほぼ同水準で、工事費などの初期費用を抑えられる
- 引っ越し時に住所変更の手続きだけで継続利用できるサービスもある
向かない理由:夜間や混雑時に速度が落ちることがある
ホームルーターはモバイル回線を利用しているため、利用者が集中する時間帯に速度が低下しやすい傾向があります。特に夜間(19時〜23時ごろ)は、周辺で同じ基地局を使う人が増えるため混雑が起こりやすくなります。
この混雑を専門用語で「輻輳(ふくそう)」と言います。道路にたとえると、夕方のラッシュ時に渋滞が起きるようなイメージです。
もう一つ注意したいのが、速度制限の可能性です。ホームルーターの多くは「データ容量無制限」をうたっています。しかし、短期間に大量の通信を行った場合は一時的に速度が制限されることがあります。
直近数日間のデータ利用量が多いと判断された場合、混雑時間帯の速度が絞られるケースがあります。長時間のWeb会議や大容量ファイルのやり取りが続く業務では注意が必要です。各事業者の具体的な制限条件は公式サイトでご確認ください。
リモートワーク中にWeb会議の映像が止まったり音声が途切れたりすると、業務に支障が出ます。通信品質を最優先にしたい方は、次のセクションで光回線との比較を確認してください。
光回線とホームルーター、リモートワーク向きはどちらか
光回線とホームルーターのどちらが適しているかは、通信品質・費用・導入スピードのバランスで決まります。それぞれの違いを具体的な数値で確認してみましょう。
通信の安定性・速度の比較
光回線とは、光ファイバーという細いガラスの線を自宅まで引き込み、高速で安定したインターネット接続を提供するサービスです。
| 比較項目 | 光回線 | ホームルーター |
|---|---|---|
| 接続方式 | 光ファイバー(有線) | モバイル回線(無線) |
| 下り実測の目安 | 300〜600Mbps | 50〜200Mbps |
| 上り実測の目安 | 100〜300Mbps | 5〜25Mbps |
| 夜間の速度低下 | 小さい | 大きくなりやすい |
| データ容量 | 無制限 | 基本的に無制限 |
| 速度制限 | 原則なし | 混雑時・短期間の大量通信時に制限の場合あり |
| 開通までの期間 | 2週間〜2か月 | 最短翌日〜数日 |
通信の安定性では光回線が明らかに優位です。有線接続のため天候や周囲の利用状況に左右されにくく、上り速度も高いため、大容量ファイルのアップロードや画面共有がスムーズに行えます。
一方、ホームルーターは下り速度だけを見ればWeb会議に十分対応できる水準です。ただし、上り速度が光回線より低めに出る点は押さえておきましょう。
月額料金・初期費用の比較
| 比較項目 | 光回線(戸建て) | 光回線(マンション) | ホームルーター |
|---|---|---|---|
| 月額料金の目安 | 5,000〜6,500円(税込) | 3,500〜5,000円(税込) | 4,500〜5,500円(税込) |
| 初期費用 | 工事費15,000〜40,000円程度 | 工事費15,000〜40,000円程度 | 端末代(実質無料の場合あり) |
| 契約期間 | 2〜3年が多い | 2〜3年が多い | 2〜3年が多い |
※金額は一般的な目安です。事業者やキャンペーンの内容により異なります。最新の料金は各公式サイトでご確認ください。
月額料金だけを見ると、ホームルーターと光回線は同程度の価格帯です。初期費用では光回線に工事費がかかる分、ホームルーターのほうが導入コストを抑えやすい場合があります。
ただし、工事費が実質無料になるキャンペーンを実施している光回線事業者もあります。月額料金だけでなく端末代・工事費・解約時の違約金を含めた総額で比較することが大切です。
判断の目安:こんな人はホームルーターで十分
光回線とホームルーターのどちらを選ぶか迷ったときは、次の基準を参考にしてください。
ホームルーターが向いている方
- すぐにネット環境を整えたい(光回線の開通を待てない)
- 賃貸で回線工事の許可が取れない
- Web会議は1日1〜2時間程度で、大容量ファイルのやり取りは少ない
- 転勤や引っ越しの可能性があり、固定回線を引くのをためらっている
光回線が向いている方
- Web会議が1日3時間以上、または複数回ある
- 大容量のデータを頻繁にアップロード・ダウンロードする
- 家族もWi-Fiを同時に使う(動画視聴やゲームなど)
- 通信品質の安定を最優先にしたい
なお、スマホのテザリングで代用する方法もありますが、テザリングはスマホのデータ容量を消費するうえ、長時間の接続には不向きです。業務用のメイン回線としてはホームルーターか光回線を用意しましょう。
ホームルーター利用時のセキュリティ対策
リモートワークでは社内の情報や顧客データを自宅のネットワーク経由で扱います。会社のオフィスと比べて自宅のWi-Fiは保護が薄くなりがちです。最低限押さえておきたいセキュリティの基本を確認しましょう。
VPN・暗号化方式(WPA3)の基本
自宅のWi-Fiセキュリティで重要なのは、暗号化方式とVPNの2つです。
暗号化方式とは、Wi-Fiでやり取りするデータを第三者に読み取られないよう、暗号に変換する仕組みです。現在もっとも安全性が高いのがWPA3という規格です。
ホームルーターの設定画面で暗号化方式を確認し、WPA2-AES以上に設定されていることを確かめましょう。WPA3に対応している機種であれば積極的に利用してください。古い規格(WEPやWPA-TKIPなど)のままになっている場合は、すぐに変更してください。
VPN(Virtual Private Network)とは、インターネット上に暗号化された専用のトンネルを作り、安全に通信する仕組みです。公衆の道路に覆い付きの専用レーンを設けるようなイメージで、外から通信内容を覗かれるリスクを大幅に減らせます。
会社からVPN接続を求められている場合は、指定されたVPNソフトを必ず使いましょう。機密性の高い情報を扱うなら、会社の指定がない場合でもVPNの導入を検討する価値はあります。
そのほか、次の対策も実施しておくと安心です。
- ルーターの管理画面のパスワードを初期設定から変更する
- ルーターのファームウェア(内部ソフトウェア)を最新の状態に保つ
- 業務用と私用でWi-Fiのネットワークを分ける(ゲストネットワーク機能を活用する)
フリーWi-Fiとの違いと注意点
カフェやコワーキングスペースのフリーWi-Fiは、暗号化されていなかったり、同じネットワーク内の他の利用者から通信を傍受されるリスクがあります。業務で使うにはセキュリティ面の不安が大きいため、フリーWi-Fiでの業務利用は基本的に避けましょう。
自宅のホームルーターであれば、自分だけが使うネットワークなのでフリーWi-Fiよりはるかに安全です。ただし、前述のとおり暗号化方式の設定やパスワード管理は自分で行う必要があります。
やむを得ずフリーWi-Fiを使う場合は、必ずVPN接続を併用してください。VPNを通せば通信内容が暗号化されるため、フリーWi-Fiの弱点をカバーできます。
ホームルーターを快適に使うための3つのポイント
ホームルーターの性能を最大限に引き出すには、設置場所の工夫とエリア確認が重要です。購入後に「思ったより遅い」とならないよう、事前にチェックしておきましょう。
ルーターの設置場所を工夫する
ホームルーターは基地局からの電波を受信して動作するため、置き場所によって速度が大きく変わります。次のポイントを意識して設置してください。
- 窓際(特に外壁側)に置くと、基地局からの電波が入りやすくなります
- 床に直置きせず、棚の上やデスクの上など高さ1m程度の位置に置きましょう
- 金属製の家具や電子レンジ・水槽のそばは電波が弱くなるため避けてください
- 複数の部屋でWi-Fiを使うなら、家の中心付近に置くと各部屋に電波が届きやすくなります
仕事部屋とルーターの設置場所が離れている場合は、有線LANケーブルでパソコンとルーターを直接つなぐ方法も有効です。無線よりも安定した通信ができるため、長時間のWeb会議がある日は有線接続に切り替えるのも一つの手です。
もう一点、契約前に必ず確認したいのが対応エリアです。ホームルーターはモバイル回線を利用するため、住んでいる地域が対応エリア内かどうかを事前に確認しましょう。都市部ではほぼ問題ありませんが、郊外や山間部、離島では電波が届かない場合があります。
各事業者の公式サイトで住所を入力すれば対応状況を確認できます。
- ドコモ home 5Gのエリア確認はドコモ公式より
- SoftBank Airのエリア確認はSoftBank公式より
- au ホームルーター 5Gのエリア確認はau公式より
- WiMAXのエリア確認はUQ WiMAX公式より
5G対応エリアはまだ限定的です。5G対応のホームルーターを選んでも、自宅が5Gエリア外であれば4G回線での接続になります。
4Gでもリモートワークには使えますが、5Gほどの速度は出ません。契約前にエリアを確認し、実際にどの回線で接続されるかを把握しておくことが大切です。
まとめ
ホームルーターはリモートワークに使える選択肢の一つです。工事不要ですぐに導入でき、Web会議に必要な通信速度も多くの場合クリアできます。
ただし、夜間の速度低下や短期間の大量通信による速度制限には注意が必要です。Web会議が1日3時間以上ある方や、大容量データを頻繁にやり取りする方は、通信が安定している光回線のほうが業務に集中しやすいでしょう。
どちらを選ぶか迷ったら、「すぐに必要か、安定性を重視するか」を基準にすると判断しやすくなります。まずは自分の業務内容と通信環境を照らし合わせて、無理のない回線選びをしてみてください。