黒電話は光回線でも使える?接続前に知っておくべきこと
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実家や祖父母の家に、まだ黒電話が現役で置いてあるというケースは少なくありません。
光回線への切り替えを考えたとき、こんな疑問が浮かぶのではないでしょうか。
- 黒電話は光回線に繋いでも使えるのか
- 使えるとしたら、何か特別な部品が必要なのか
- 停電のとき、黒電話なら電話できるのか
本記事では、黒電話を光回線の電話サービス(ひかり電話)で使う方法から、使えない機能、停電時の注意点までをまとめています。
この記事のポイント
- 光回線の「ひかり電話」に繋げば、黒電話でも発信・着信ができる
- 接続にはモジュラー変換器(6極2芯)が必要になる場合がある
- プッシュボタン操作が必要なサービス(音声ガイダンスなど)には対応できない
目次
黒電話と光回線の基本を押さえる
まず、黒電話と現代の電話がどう違うのかを整理します。ここを理解しておくと、「なぜそのまま繋いでも使えないのか」がわかります。
ダイヤル式電話(黒電話)とプッシュ式電話の信号の違い
黒電話は「ダイヤルを回す」ことで電話番号を伝えます。ダイヤルを回すと、電話線に流れる電気が一定のリズムでON・OFFを繰り返します。この電気の断続パターンをパルス信号と呼びます。
たとえば「3」を回すと、電気のON・OFFが3回発生します。交換機はこの回数を数えて、相手の番号を判別する仕組みです。
一方、現代のプッシュ式電話はボタンを押すと特定の音(周波数の組み合わせ)が鳴ります。これをトーン信号(PB信号)と呼びます。
| 項目 | 黒電話(ダイヤル式) | プッシュ式電話 |
|---|---|---|
| 信号方式 | パルス信号(電気のON/OFF) | トーン信号(音の周波数) |
| 番号の伝え方 | ダイヤルを回した回数 | ボタンを押したときの音 |
| 電源 | 電話線から供給(不要) | 電話線から供給、または電池・コンセント |
ポイントは、信号の「方式」が根本的に異なるという点です。現代の電話交換機はトーン信号を前提に設計されているため、パルス信号をそのまま送っても認識できないことがあります。
光回線の電話サービス「ひかり電話」とは何か
ひかり電話とは、光回線を使った電話サービスのことです。従来のアナログ電話線(銅線)の代わりに、光ファイバーで音声データをやり取りします。
音声をデジタルデータ(IPパケット)に変換して相手に届ける仕組みで、この変換を担うのがホームゲートウェイ(HGW)です。ホームゲートウェイとは、光信号の変換・ルーター・電話接続ポートを1台にまとめた装置です。
NTT東日本・NTT西日本の「ひかり電話」が代表的で、ドコモ光やソフトバンク光などの光コラボレーション回線でも同じ仕組みが使われています。auひかりやeo光などの独自回線にも、それぞれ光回線を使った電話サービスがあります。
黒電話を光回線(ひかり電話)で使う方法
結論から言うと、ひかり電話を契約している環境であれば、黒電話で発信・着信ができます。ホームゲートウェイがアナログ音声信号(パルスダイヤルを含む)をVoIPに変換してくれるため、黒電話のパルス信号方式でも通話が成立します。
ただし、そのまま線を差すだけでは繋がらないケースがほとんどです。必要な機器と手順を確認しましょう。
必要な機器と変換パーツ
黒電話を光回線に接続するために必要なものは、大きく3つです。
| 必要なもの | 役割 | 備考 |
|---|---|---|
| ホームゲートウェイ(HGW) | 光信号とIP変換、電話接続ポートを提供 | ひかり電話契約時にレンタルされる |
| モジュラー変換器(ローゼット→モジュラージャック) | 黒電話の電話線をモジュラージャック形式に変換 | 6極2芯対応のものを選ぶ |
| 電話線(モジュラーケーブル) | 変換器とホームゲートウェイを接続 | 一般的な電話用ケーブルでOK |
黒電話の電話線は、壁に直接ネジ止めされている「ローゼット」という古い形式の端子に繋がっていることが多いです。現在の電話機やホームゲートウェイは「モジュラージャック」という規格の差し込み口を使っています。
この形状の違いを吸収するのがモジュラー変換器です。ローゼットの2本の裸線をモジュラージャック形式に変換してくれる小さなアダプターで、電気店やオンラインショップで数百円から購入できます。規格は6極2芯のものを選んでください。
接続手順と動作確認
機器が揃ったら、以下の手順で接続します。
- 黒電話の電話線をローゼット端子から外す(ネジを外す)
- 電話線の2本の裸線をモジュラー変換器に接続する
- モジュラーケーブルで変換器とホームゲートウェイの電話ポート(TELポート)を繋ぐ
- 黒電話の受話器を上げて「ツー」という発信音が聞こえるか確認する
- 実際に電話番号をダイヤルして発信できるか試す
発信音が聞こえれば、接続は成功です。家族の携帯電話などにかけて、通話が成立するか確認しましょう。
もし発信音が聞こえない場合は、モジュラー変換器の配線(2本の線の接続先)を入れ替えてみてください。極性が逆になっていると信号が通らないことがあります。
使えないこと・注意点を先に知っておく
黒電話はひかり電話環境で通話できますが、いくつか使えない機能や注意すべき点があります。接続する前に把握しておきましょう。
プッシュボタン操作が必要なサービスへの非対応
黒電話の最大の制約は、プッシュボタン(PB信号)が必要なサービスを利用できないことです。
ダイヤル式の黒電話はパルス信号しか送れません。そのため、音声ガイダンスで「1を押してください」と案内されるような操作には対応できません。
| サービス | 黒電話で使えるか |
|---|---|
| 通常の発信・着信 | 使える |
| 緊急通報(110・119) | 使える |
| 音声自動応答(IVR) | 使えない |
| テレフォンバンキング | 使えない |
| チケット予約の番号入力 | 使えない |
| 留守番電話の遠隔操作 | 使えない |
この点はNTT西日本公式FAQでも案内されています。ひかり電話でダイヤル式電話機を使う場合、PB信号が必要なサービスには対応しないとされています。
通話だけなら問題ありませんが、電話操作で何かを選択するサービスを日常的に使う場合は、プッシュ式の電話機を併用する必要があります。
着信時の操作とナンバーディスプレイへの影響
ひかり電話でナンバーディスプレイを契約している場合、着信時に少し注意が必要です。
ナンバーディスプレイでは、電話が鳴る前にFSK(周波数偏移変調)という方式で発信者番号のデータが送られます。黒電話はこの信号を表示する機能を持たず、電気的な変化に回路が反応することがあります。
具体的には、受話器を上げても無音になるケースが報告されています。この場合は、フックボタン(受話器を置くレバー部分)を一度軽く押して離すと通話が繋がることがあります。
毎回この操作が煩わしい場合は、ナンバーディスプレイの契約を外すか、プッシュ式電話機との併用を検討してください。
停電時の扱いと防災の観点
「黒電話は停電でも使える」という話を耳にしたことがある方もいるでしょう。アナログ電話線では電話局から電力が供給されるため、停電しても通話できました。
しかし光回線に切り替えると事情が変わります。ONU(光回線終端装置)やホームゲートウェイが自宅のコンセントで動作しているため、停電すると機器が止まり、黒電話でも通話できなくなります。
| 回線の種類 | 停電時の通話 | 理由 |
|---|---|---|
| アナログ電話線+黒電話 | できる | 電話局から電話線経由で給電される |
| 光回線(ひかり電話)+黒電話 | できない | ONU・ホームゲートウェイが停電で停止する |
| 光回線(ひかり電話)+プッシュ式電話 | できない | 同上 |
防災目的で黒電話を残しておきたい場合は、光回線では停電時に使えないと理解しておきましょう。停電時の連絡手段は、スマートフォンの充電を普段から確保しておくのが現実的です。
NTTのアナログ公衆回線(PSTN)は2024年1月から順次IP網へ移行中です1。将来的にはアナログ回線の停電時通話の仕組みも変わる可能性があります。
黒電話を活かした実用的な使い方
ここまでの内容をふまえると、黒電話を光回線で使うための条件と制約が見えてきます。
黒電話の単体利用は「通常の発信・着信だけで十分」という場合に限られます。音声ガイダンスの操作やナンバーディスプレイの表示が必要であれば、プッシュ式の電話機が必要です。
そこで現実的なのが、黒電話とプッシュ式電話機の2台併用です。
ホームゲートウェイのTELポートに二股のモジュラー分配器を取り付けると、2台の電話機を同じ回線で使えるようになります。普段の通話は黒電話で受けて、ボタン操作が必要なときだけプッシュ式電話機を使うという運用です。
2台併用する場合の構成をまとめます。
| 機器 | 用途 |
|---|---|
| ホームゲートウェイ | 光回線とひかり電話の接続 |
| モジュラー分配器(二股) | TELポートから2台に分岐 |
| 黒電話+モジュラー変換器 | 通常の通話用 |
| プッシュ式電話機 | 音声ガイダンス操作・ナンバーディスプレイ・留守番電話 |
思い出の品として黒電話を残したい、家族に昔の電話を体験させたいという目的でも、この構成なら実用性を損なわずに黒電話を活かせます。
接続に必要なモジュラー変換器と分配器は、いずれも電気店やオンラインショップで1,000円前後で購入できます。専門業者に依頼しなくても、自分で取り付けられる範囲の作業です。
まとめ
黒電話は光回線のひかり電話に接続すれば、発信・着信ともに使えます。ホームゲートウェイがアナログ音声信号(パルスダイヤルを含む)をVoIPに変換してくれるため、信号方式の違いは問題になりません。
ただし、音声ガイダンスなどプッシュボタン操作が必要なサービスには対応できない点、ナンバーディスプレイの信号で着信に支障が出ることがある点は押さえておきましょう。また、光回線環境では停電時に通話ができなくなるため、防災目的で黒電話を残す場合は別の連絡手段も確保してください。
黒電話を活かしつつ不便を補うには、プッシュ式電話機との2台併用が最も現実的な方法です。必要な変換パーツはいずれも安価で、自分で接続できます。光回線に切り替えても、黒電話を手放す必要はありません。
参考文献
Footnotes
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NTT東日本「固定電話(加入電話・INSネット)のIP網移行を2024年1月1日から順次開始」 https://www.ntt-east.co.jp/info/detail/231214_01.html ↩