ホームルーターの有線接続が遅い原因と対処法
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ホームルーターにLANケーブルを挿して有線接続にしたのに、速度がほとんど変わらない。そんな経験はないでしょうか。
有線接続で速度が出ない原因はひとつではありません。
- LANケーブルの規格が古い、または劣化している
- ホームルーター自体の上り速度に限界がある
- PCやデバイス側の設定が足を引っ張っている
本記事では、ホームルーターの有線接続が遅い原因を順番に切り分け、すぐ試せる対処法から回線の見直しまで解説します。
この記事のポイント
- 有線接続でも改善する部分と改善しない部分がある
- ケーブル → 機器 → 設定 → 回線の順に原因を絞り込める
- 用途別の快適速度の目安を知れば、乗り換え判断もしやすくなる
目次
ホームルーターを有線接続しても遅い理由
「Wi-Fiが不安定だから有線にすれば速くなるはず」と思うのは自然な発想です。しかし、ホームルーターの場合は有線に切り替えても速度が大幅に改善しないケースがあります。その理由は、ホームルーターの通信の仕組みそのものにあります。
ホームルーターの仕組みと「上り速度」の壁
ホームルーターは、光回線のように自宅まで光ファイバーを引き込むのではなく、スマートフォンと同じモバイル回線(4G・5G)を使ってインターネットに接続する機器です。
自宅のルーターからデバイスまでの接続方式がWi-Fiか有線かにかかわらず、ルーターから先のインターネットへの通信はモバイル回線を経由します。つまり、有線接続で改善できるのは「ルーターとデバイスの間」だけです。
とくに影響が大きいのが上り速度です。上り速度とは、こちらからインターネットにデータを送る速さのことです。メールの送信、ビデオ会議で自分の映像を相手に届けること、クラウドへのファイルアップロードなどが該当します。
ホームルーターの下り速度(データを受け取る速さ)は平均100〜200Mbps程度出ることもありますが、上り速度は平均10〜20Mbps程度にとどまります。ビデオ会議ではリクエストの送信と映像の送信を同時に行うため、上り速度が遅いと映像が止まったり音声が途切れたりします。
この上り速度の低さはモバイル回線の仕様上の制約であり、LANケーブルを挿しても解消できません。
たとえば、ドコモ home 5G HR02の仕様では、5G(NSA)接続時の下り最大速度は4.2Gbpsですが、上り最大速度は218Mbpsです。実測値はさらに低くなるため、上り速度の制約は有線接続では解決できない問題だと理解しておきましょう。
有線接続で改善する部分・しない部分
有線接続に切り替えることで改善が期待できる部分と、改善しない部分を整理します。
| 項目 | 有線で改善するか |
|---|---|
| Wi-Fiの電波干渉による速度低下 | 改善する |
| 壁や家具による電波の減衰 | 改善する |
| 接続の安定性(途切れにくさ) | 改善する |
| モバイル回線自体の上り速度 | 改善しない |
| 回線の混雑による速度低下 | 改善しない |
| エリアの電波状況が悪い場合 | 改善しない |
Wi-Fiの電波が不安定な環境(壁が多い、電子レンジなど干渉源が近い)では、有線接続で安定性が大きく向上します。一方、モバイル回線の速度上限に達している場合は、有線にしても速度は変わりません。
有線接続した状態でSpeedtest.netやFast.comなどの速度テストサイトを開き、下り速度と上り速度の両方を記録しておきましょう。Wi-Fi接続時の速度と比較することで、問題が「ルーターとデバイスの間」にあるのか「モバイル回線自体」にあるのかを判断できます。
有線に切り替えて速度が上がらなければ、次のステップに進みましょう。
まず試したい基本の対処法
ケーブルや設定の問題を疑う前に、もっとも手軽で効果が出やすい方法から試していきます。
ONU・ルーターを再起動する
ホームルーターは24時間通電し続ける機器です。長時間稼働すると内部に熱がこもったり、メモリに一時データが蓄積したりして処理速度が落ちることがあります。
再起動の手順はシンプルです。
- ホームルーターの電源プラグをコンセントから抜く
- そのまま30秒〜1分ほど待つ
- 電源プラグを挿し直す
- ランプが通常の状態に戻ったら、速度を測定する
ONU(光回線終端装置)が別にある環境では、ONUの再起動も同様に行います。ONUとは、光ファイバーの信号を電気信号に変換する装置のことです。ホームルーターの場合はONUが不要なケースが多いですが、光回線を利用している方はルーターとONUの両方を再起動してください。
再起動だけで速度が改善するケースは少なくありません。月に1回程度の定期的な再起動を習慣にするのもよいでしょう。
なお、ホームルーターの設置場所も速度に影響します。窓から離れた部屋の奥や、金属製の棚の中に置いていると電波を受信しにくくなります。窓際で、床から1m以上の高さに設置するのが理想的なので、再起動と合わせて設置場所も見直してみてください。
LANケーブルを確認・交換する
有線接続の速度はLANケーブルの状態に大きく左右されます。確認すべきポイントは2つあります。
まずケーブルの物理的な状態を確認しましょう。コネクタ部分が折れていないか、ケーブルが強く曲がったり踏まれたりしていないかをチェックします。外見上は問題なくても、内部の銅線が断線していると速度が極端に落ちることがあります。
次にケーブルの規格を確認してください。LANケーブルにはカテゴリ(CAT)と呼ばれる規格があり、対応する最大速度が異なります。ケーブル本体の外装に「CAT5」「CAT6」などの印字があるので確認してみてください。古い規格のケーブルでは回線のスペックを活かしきれません。
もうひとつ見落としがちなのが接続台数です。ホームルーターに複数のデバイスを同時接続していると、ルーターの処理負荷が上がり1台あたりの速度が落ちます。速度テストを行う際は、他のデバイスの接続を一時的に切断して1台だけで測定することで、接続台数が原因かどうかを切り分けられます。
規格については次のセクションで詳しく解説します。
LANケーブルの選び方
LANケーブルは見た目がほぼ同じでも、規格によって対応速度が大きく異なります。ホームルーターに合った規格を選ぶことで、有線接続の速度を最大限に引き出せます。
カテゴリ(CAT)規格の違いと速度の目安
LANケーブルの主な規格と対応速度は以下のとおりです。
| 規格 | 最大通信速度 | 伝送帯域 | 用途の目安 |
|---|---|---|---|
| CAT5 | 100Mbps | 100MHz | 現在は性能不足 |
| CAT5e | 1Gbps | 100MHz | 一般家庭の標準 |
| CAT6 | 1Gbps | 250MHz | 安定した高速通信向け |
| CAT6A | 10Gbps | 500MHz | 10Gbps回線対応 |
| CAT7 | 10Gbps | 600MHz | サーバールーム等の業務用 |
| CAT8 | 40Gbps | 2000MHz | データセンター向け |
ホームルーターのLANポートは多くの機種で最大1Gbpsに対応しています。このため、CAT5e以上のケーブルであれば十分です。
CAT5(「e」がつかない旧規格)を使っている場合は最大100Mbpsまでしか出ないため、ケーブルが速度のボトルネックになっている可能性があります。CAT5eまたはCAT6のケーブルに交換しましょう。
CAT7以上は一般家庭ではオーバースペックです。価格も高くなるため、コストパフォーマンスを考えるとCAT5eかCAT6が最適です。
劣化の判断基準と交換のタイミング
LANケーブルは消耗品です。以下のような状態が見られたら交換を検討してください。
- コネクタ(端子部分)のツメが折れている
- ケーブルの外装に目に見えるひび割れや変色がある
- 家具の下敷きになっていたり、ドアに挟まれたりしている
- 5年以上使い続けている
外見上は問題なさそうでも、内部の導線が劣化して接触不良を起こしているケースがあります。ケーブルを交換するだけで速度が大幅に改善することもあるため、古いケーブルを使っている場合は一度交換してみるのがおすすめです。
CAT5eのケーブルは1,000円前後(税込)で購入できます。コストが低い対処法なので、原因の切り分けとして試す価値があります。
購入時の長さにも注意が必要です。必要以上に長いケーブルは信号の減衰やノイズの影響を受けやすいため、ルーターとデバイスの距離に合わせた長さを選び、余った分をきつく束ねないようにしましょう。一般的な家庭内であれば、5m以内で十分なケースがほとんどです。
PC・デバイスの設定を見直す
ケーブルと機器を確認しても速度が改善しない場合は、PCやデバイス側の設定が原因かもしれません。特定のデバイスだけ速度が遅い場合は、この可能性が高まります。
DNSサーバーをパブリックDNSに変更する
DNS(Domain Name System)とは、Webサイトの名前(URL)をインターネット上の住所(IPアドレス)に変換する仕組みです。電話帳のようなものだと考えてください。
プロバイダが提供するDNSサーバーが混雑していると、Webサイトの表示が遅くなることがあります。Googleが提供するパブリックDNS(8.8.8.8)に変更すると改善する場合があります。
Windowsでの変更手順は以下のとおりです。
- 「設定」→「ネットワークとインターネット」→「イーサネット」を開く
- 接続中のネットワークをクリックする
- 「DNS サーバーの割り当て」の「編集」をクリックする
- 「手動」を選び、IPv4をオンにする
- 優先DNSに「8.8.8.8」、代替DNSに「8.8.4.4」を入力する
- 保存して速度を測定する
Macの場合は「システム設定」→「ネットワーク」→ 接続中のネットワークの「詳細」→「DNS」タブで同様に設定できます。
速度が変わらなければ元に戻して構いません。
VPN・プロキシ・自動チューニングを確認する
通信速度を低下させる設定がデバイスに残っていないか確認しましょう。
まずVPNの状態を確認してください。VPN(仮想プライベートネットワーク)とは、通信を暗号化して安全性を高める仕組みで、会社支給のPCやセキュリティソフトで常時接続されていると通信経路が遠回りになり速度が落ちます。業務時間外や速度テスト時はVPNを切断して比較してみてください。
次にプロキシ設定を確認します。Windowsの「設定」→「ネットワークとインターネット」→「プロキシ」で、「プロキシ サーバーを使う」がオフになっているかを確認してください。過去に設定したプロキシが残っていると通信が遅くなります。
Windowsを使っている場合は、自動チューニング機能の影響も確認する価値があります。「受信ウィンドウ自動チューニング」は通信を最適化する機能ですが、ネットワーク環境によっては逆効果になることがあります。コマンドプロンプトを管理者権限で開き、以下のコマンドで無効化を試せます。
netsh interface tcp set global autotuninglevel=disabled
速度が改善しなければ、以下のコマンドで元に戻せます。
netsh interface tcp set global autotuninglevel=normal
LANドライバーの更新も確認しておきましょう。PCのLANアダプター(有線接続に使うネットワーク部品)のドライバーが古いと通信速度に影響することがあります。Windowsの場合は「デバイスマネージャー」→「ネットワークアダプター」から対象のアダプターを右クリックして「ドライバーの更新」を選ぶと、最新版への更新で速度が安定するケースがあります。
それでも遅いなら回線を疑う
ケーブルの交換、機器の再起動、設定の見直しをすべて試しても速度が改善しない場合は、ホームルーター(モバイル回線)自体の速度上限に達している可能性があります。
まず、現在の速度を正確に把握しましょう。速度テストサイト(Speedtest.netやFast.comなど)で、下り速度と上り速度の両方を確認してください。
以下は用途別に快適に使える速度の目安です(各サービス公式推奨値をもとにした目安)。
| 用途 | 必要な下り速度の目安 | 必要な上り速度の目安 |
|---|---|---|
| Webサイト閲覧・メール | 5Mbps | 1Mbps |
| 動画視聴(HD画質) | 5Mbps以上 | ほぼ不要 |
| 動画視聴(4K画質) | 15Mbps以上 | ほぼ不要 |
| ビデオ会議(Zoom・1対1) | 2Mbps以上 | 2Mbps以上 |
| ビデオ会議(Zoom・グループ) | 3Mbps以上 | 2Mbps以上 |
| オンラインゲーム | 30Mbps以上 | 10Mbps以上 |
| 大容量ファイルのアップロード | ほぼ不要 | 50Mbps以上 |
動画視聴の目安はNetflixの推奨速度、ビデオ会議の目安はZoom公式の帯域幅要件をもとにしています。
この目安を大きく下回る速度が時間帯を変えても続く場合は、ホームルーターの回線環境自体に問題がある可能性が高いです。
回線の見直しを検討するタイミングの目安は以下のとおりです。
- 下り速度が常時15Mbps以下で、動画視聴やビデオ会議に支障が出ている
- 上り速度が常時3Mbps以下で、ファイル送信やビデオ会議の映像が頻繁に止まる
- 夜間(19〜23時)の速度低下が激しく、必要な速度を確保できない
ホームルーターはモバイル回線を利用しているため、設置場所の電波状況や時間帯による混雑の影響を受けやすい特徴があります。窓際への設置で改善する場合もありますが、根本的な速度不足を感じる場合は光回線への乗り換えが有効な選択肢になります。
光回線は自宅まで光ファイバーを直接引き込むため、上り・下りともに安定した高速通信が可能です。一般的な光回線プランでは下り・上りともに最大1Gbpsに対応しており、ホームルーターと比べると上り速度に大きな差が出ます。ただし開通工事が必要で、建物によっては導入できないケースもあります。
ホームルーターと光回線の速度を比較すると、以下のようになります。
| 項目 | ホームルーター | 光回線(1Gbpsプラン) |
|---|---|---|
| 下り速度(実測の目安) | 100〜200Mbps | 200〜500Mbps |
| 上り速度(実測の目安) | 10〜20Mbps | 100〜300Mbps |
| 開通工事 | 不要 | 必要(最短3週間〜、混雑期はさらに長くなる場合あり) |
| 持ち運び | 不可(登録住所以外での使用不可) | 不可(固定回線) |
(速度は利用環境・時間帯により異なる参考値です。)
上り速度の差が大きいことがわかります。ビデオ会議やファイルのアップロードが日常的に必要な方は、光回線への乗り換えで体感速度が大きく変わる可能性があります。
どの回線が自分に合っているかは、利用環境や用途によって異なります。ケーブル・機器・設定の確認で原因が特定できなかった場合は、回線そのものの見直しを検討してみてください。
まとめ
ホームルーターの有線接続が遅い場合、原因はひとつとは限りません。
対処の優先順位として、まずはホームルーターの再起動とLANケーブルの状態確認から始めてください。CAT5以前の古い規格を使っていれば、CAT5eまたはCAT6への交換で速度が改善する可能性があります。
それでも改善しなければ、DNS設定やVPN・プロキシの確認といったデバイス側の見直しに進みます。特定のデバイスだけが遅い場合は、この段階で原因が見つかることが多いです。
すべての対処法を試しても速度が不足する場合、それはホームルーターのモバイル回線としての限界です。とくに上り速度は有線接続でも改善が難しいため、ビデオ会議やファイルアップロードを頻繁に行う方は光回線への乗り換えが選択肢に入ります。
大切なのは、ケーブル・機器・設定・回線の4段階で順番に原因を切り分けることです。
| 段階 | 対処法 | コスト | 期待できる効果 |
|---|---|---|---|
| 1. 機器 | ルーターの再起動・設置場所の見直し | 0円 | 一時的な不調の解消 |
| 2. ケーブル | LANケーブルの規格確認・交換 | 1,000円前後(税込) | ボトルネックの解消 |
| 3. 設定 | DNS・VPN・ドライバーの見直し | 0円 | デバイス固有の問題を解消 |
| 4. 回線 | 光回線への乗り換え | 工事費・月額料金 | 上り速度の根本的な改善 |
やみくもに回線を乗り換えるのではなく、手元でできる対処を先に試してから判断しましょう。