ノートパソコンのWi-Fiが遅い原因と対処法|設定変更から外付け子機まで解説
- #速度
Zoomが固まる、YouTubeが止まる、ファイルのダウンロードが終わらない。同じ家のスマホは速いのに、ノートパソコンだけWi-Fiが遅い——そんな経験はありませんか。
- 再起動してもルーターの位置を変えても直らない
- 電源をつなぐと速くなる気がするけど理由がわからない
- パソコンの買い替えしか方法がないのか不安
このような悩みを抱えている方は少なくありません。同じWi-Fiを使っているのにノートパソコンだけ遅い場合、原因はPC側の設定や仕様にあることがほとんどです。パソコンの故障ではありません。
本記事では、ノートパソコンのWi-Fiが遅くなる原因を切り分け、今の環境でできる改善策を順番に解説します。
この記事のポイント
- ノートPCの内蔵Wi-Fiには規格による速度上限がある
- 省電力設定やドライバの問題は設定変更で直せる
- 外付けWi-Fi子機で内蔵Wi-Fiの限界を超える方法がある
目次
ノートパソコンのWi-Fiが遅い原因——PC側に問題があるケース
スマホは速いのにノートパソコンだけ遅い場合、回線やルーターではなくPC側に原因があります。主に「内蔵Wi-Fiの規格とアンテナ本数」「省電力設定」「ドライバの不具合」の3つが考えられます。
内蔵Wi-Fiの規格とアンテナ本数——そもそもの上限
Wi-Fi規格とは、無線通信の速度や周波数を定めた規格のことです。規格によって最大速度が異なり、古い規格のPCでは新しいルーターの性能を活かしきれません。
| Wi-Fi規格 | 最大速度(理論値) | 登場時期 |
|---|---|---|
| 11n(Wi-Fi 4) | 最大600Mbps | 2009年 |
| 11ac(Wi-Fi 5) | 最大6.9Gbps | 2014年 |
| 11ax(Wi-Fi 6) | 最大9.6Gbps | 2019年 |
ただし、表の「最大速度」は理論上の数値であり、実際に出る速度はアンテナの本数によって変わります。アンテナ本数(ストリーム数)とは、同時に送受信できるデータの経路数のことで、本数が多いほど高速通信が可能になります。
| アンテナ本数 | 11n(2.4GHz) | 11ac(5GHz) |
|---|---|---|
| 1本(1×1) | 最大150Mbps | 最大433Mbps |
| 2本(2×2) | 最大300Mbps | 最大867Mbps |
| 3本(3×3) | 最大450Mbps | 最大1,300Mbps |
| 4本(4×4) | 最大600Mbps | 最大1,733Mbps |
ノートパソコンの内蔵Wi-Fiは、筐体のスペース制約からアンテナ本数が限られています。多くのモデルが2本のアンテナ(2×2ストリーム)を搭載しており、11ac対応でも最大867Mbps程度が上限です。ルーターが4本アンテナで1,733Mbpsに対応していても、PC側の上限に合わせられてしまいます。
5年以上前のノートパソコンの場合、11n対応のみで最大150〜300Mbps程度に制限されている可能性があります。この場合、どれだけ高速なルーターを使っても、PCの規格上限を超える速度は出ません。
自分のPCの対応規格を確認する方法(Windowsの場合)
- 「スタート」を右クリック→「デバイスマネージャー」を開く
- 「ネットワークアダプター」を展開
- Wi-Fiアダプターの名前を確認(「Intel Wi-Fi 6 AX201」など)
- アダプター名でWeb検索すると対応規格がわかる
アダプター名に「AC」が含まれていれば11ac対応、「AX」が含まれていれば11ax対応の可能性が高いです。「Wireless-N」や「bgn」のみの場合は11n対応となります。
省電力設定・ドライバ——設定で直せる部分
ノートパソコンは持ち運びを前提に設計されているため、バッテリーを長持ちさせる省電力機能が搭載されています。この機能がWi-Fiアダプターの送受信出力を下げ、速度低下の原因になることがあります。
「電源をつないだら速くなる」という経験がある場合、省電力設定が原因の可能性が高いです。Windowsの初期設定では、バッテリー駆動時にWi-Fiアダプターの電力を抑える設定になっていることがあります。省電力モードでは、アダプターが電波の送受信出力を下げたり、一定時間通信がないとスリープ状態に入ったりします。
また、ドライバとは、パソコンの部品を動かすためのソフトウェアのことです。Wi-Fiアダプターのドライバが古い場合、新しいルーターの機能に対応できないことがあります。ドライバの不具合で通信が不安定になり、速度測定では「50Mbps→2Mbps→40Mbps」のように速度が大きく変動するケースも見られます。
周波数帯(2.4GHz/5GHz)の自動選択も速度低下の原因になることがあります。2.4GHz帯は障害物に強く遠くまで届きますが、速度は5GHz帯より遅い傾向があります。ルーターが両方の周波数を同じSSID(接続先の名前)で提供している場合、PCが自動で2.4GHz帯を選んでいることがあります。
これらはPCの故障ではなく、設定やソフトウェアの問題です。次章で回線・ルーター起因のケースを切り分けた後、具体的な対処法を解説します。
回線やルーターが原因のケースを見分ける
ノートパソコンだけでなく、他の機器も遅い場合は、PC側ではなく回線やルーターに原因があります。改善策に進む前に、以下の質問で原因を切り分けましょう。
切り分けチェック(3問)
- 他の機器(スマホ・タブレット)も遅い? →「はい」なら回線やルーターの問題。PC設定では根本解決しません。
- 夜だけ遅い? →「はい」なら回線の混雑が原因の可能性があります。特にマンションの共用回線やVDSL方式では、夜間に速度が落ちやすい傾向があります。
- 特定の部屋だけ遅い? →「はい」ならルーターからの距離や障害物の問題です。ルーターの設置場所を見直すか、中継機の導入を検討しましょう。
編集部の診断でも、「スマホは速いのにパソコンだけ遅い」という相談は少なくありません。4人家族でノートパソコン4台を使い、YouTube同時視聴時に映像が飛ぶケースでは、PC固有の問題ではなく回線の混雑が原因でした。
「他の機器も遅い」「夜だけ遅い」に該当する場合は、本記事の改善策だけでは根本解決しません。回線の見直しについては記事後半で触れますが、約3分の診断で自分の環境に合った選択肢を確認できます。
ここからは、「ノートパソコンだけ遅い」というケースに絞って改善策を解説します。
今すぐできる改善策——設定変更から外付け子機まで
PC側に原因がある場合、設定変更や機器の追加で改善できることがあります。効果が出やすい順に試していきましょう。
省電力設定を「最大パフォーマンス」に変える(Windowsの場合)
省電力設定でWi-Fiアダプターの出力が抑えられている場合、設定を変更することで速度が改善します。特に電源接続時と非接続時で速度差を感じる場合は、この設定を確認してください。
手順(Windows 10/11)
- 「コントロールパネル」を開く
- 「ハードウェアとサウンド」→「電源オプション」を選択
- 使用中のプランの「プラン設定の変更」をクリック
- 「詳細な電源設定の変更」をクリック
- 「ワイヤレスアダプターの設定」→「省電力モード」を展開
- 「バッテリ駆動」「電源に接続」の両方を「最大パフォーマンス」に変更
- 「OK」をクリックして完了
この設定を変更しても、バッテリー消費が極端に増えることは通常ありません。在宅ワークやオンライン授業など安定した接続が必要な場面では、「最大パフォーマンス」に設定しておくことをおすすめします。
macOSの場合は「システム設定」→「バッテリー」から省電力モードをオフにすることで同様の効果が期待できます。
Wi-Fiドライバを更新・再インストールする(Windowsの場合)
ドライバの不具合や更新漏れは、速度低下だけでなく接続切れの原因にもなります。以下の手順でドライバを最新の状態にしましょう。
ドライバ更新の手順
- 「スタート」を右クリック→「デバイスマネージャー」を開く
- 「ネットワークアダプター」を展開
- Wi-Fiアダプター(「Wireless」や「Wi-Fi」を含む名前)を右クリック
- 「ドライバーの更新」→「ドライバーを自動的に検索」を選択
- 更新がある場合はインストールされる
更新しても改善しない場合は、ドライバの再インストールを試します。同じ手順でWi-Fiアダプターを右クリックし、「デバイスのアンインストール」を選択してパソコンを再起動すると、ドライバが自動で再インストールされます。
なお、ドライバのアンインストール中はWi-Fiが使えなくなるため、有線接続の環境があると安心です。
外付けWi-Fi子機で内蔵Wi-Fiの限界を超える
内蔵Wi-Fiが11n対応のみ、またはアンテナ本数が少ない場合でも、外付けのWi-Fi子機(USBアダプター)を使えばルーターの性能を引き出せます。
外付けWi-Fi子機のメリット
- 内蔵Wi-Fiより高い規格(11ac/11ax)に対応
- アンテナ本数が多く、通信が安定する
- USBに挿すだけで使える(ドライバ自動インストール)
I-O DATAの実測によると、11n対応のノートパソコンに11ac対応の外付け子機「WN-AC1300UA」を接続した場合、ダウンロード速度が73Mbpsから110Mbpsへ向上した例があります(約1.5倍)。価格は3,000〜5,000円程度で、パソコンの買い替えより低コストで改善できる選択肢です。
外付け子機を検討する目安
| 現在のPC | おすすめの対応 |
|---|---|
| 購入から3年以上・11ac対応 | 外付け子機(11ax対応)を試す価値あり |
| 購入から5年以上・11n対応 | 外付け子機で効果大。ただし他のスペックも古い場合は買い替えも検討 |
| 購入から7年以上 | 外付け子機で改善するが、PC全体の性能がボトルネックになる可能性 |
外付け子機を使う場合、内蔵Wi-Fiと同時に有効になっていると接続が不安定になることがあります。デバイスマネージャーから内蔵Wi-Fiを無効にしておくと、外付け子機だけで安定して通信できます。
それでも遅いなら——回線そのものを見直す選択肢
省電力設定の変更、ドライバの更新、外付け子機の導入を試しても改善しない場合は、PC側ではなく回線の速度や品質が原因の可能性があります。
回線が原因と考えられるケース
- マンションのVDSL方式で回線の上限が100Mbps程度
- 建物の共用回線で、夜間や休日に多くの住人が同時利用する
- プロバイダの混雑で夜間に速度が低下する
- 契約プランの上限速度が低い(100Mbpsプラン等)
テレワーク中にネットが重く、PC設定を変えても改善しなかったケースでは、回線の乗り換えで解決した例があります。光回線であっても、プロバイダや配線方式によって実測速度は大きく異なります。
回線を見直す選択肢
| 選択肢 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| IPv6 IPoEへの切り替え | 今の回線のまま設定変更のみ。無料の場合が多い | 夜間の混雑が原因の場合 |
| 光回線の乗り換え | 独自回線は夜の混雑に強い傾向 | VDSLや共用回線で上限が低い場合 |
| ホームルーター | 工事不要で即日利用可能 | 光回線の工事ができない場合 |
IPv6 IPoEとは、新しいインターネットの接続方式のことです。従来のPPPoE方式方式は利用者が多く混雑しやすいのに対し、IPv6 IPoE方式は比較的空いている経路を使うため、夜間の混雑を回避できる場合があります。現在のプロバイダで対応していれば、設定変更だけで切り替えられることが多く、費用もかからないケースが一般的です。
光回線の乗り換えは、根本的な解決策になる場合があります。NTTのフレッツ光や光コラボレーション回線とは別に、NURO光やauひかりのような独自回線を持つサービスは、設備を他社と共用しないため夜間の混雑に強い傾向があります。ただし、マンションの場合は建物の設備状況によって選べる回線が限られることがあります。
ホームルーターは、コンセントに挿すだけで使える据え置き型のモバイル回線です。5Gエリア内であれば下り100〜300Mbps程度の速度が出ることもあり、光回線のVDSL方式より速いケースもあります。工事不可の賃貸や、引っ越しの予定がある場合に適しています。
PC設定で直る人、外付け子機で改善する人、回線の見直しが必要な人——どれに当たるかは、使い方と環境で変わります。約3分の診断で、あなたの場合にどこから手を付けるべきかを切り分けられます。
外付け子機を導入しても接続が頻繁に切れる場合は、「無線LANの子機が途切れる」という別の問題かもしれません。
<!-- report-cases: d-t-7lBjLHEh, d-cg08jelloI -->まとめ
ノートパソコンだけWi-Fiが遅い場合、原因はPC側の内蔵Wi-Fi規格、省電力設定、ドライバにあることがほとんどです。回線やルーターの問題ではないため、設定変更や外付け子機の追加で改善できます。
- 省電力設定を「最大パフォーマンス」に変更する
- Wi-Fiドライバを更新・再インストールする
- 外付けWi-Fi子機で内蔵Wi-Fiの上限を超える
他の機器も遅い場合や、これらの対策を試しても改善しない場合は、回線そのものの見直しを検討してください。ノートパソコンの買い替えを考える前に、まず今の環境でできることを試してみましょう。