eSIMとは?仕組み・メリット・デメリットをわかりやすく解説
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eSIMという言葉を聞いたことはあっても、具体的に何が便利なのかわからない方も多いのではないでしょうか。
- そもそもeSIMとは何なのか、SIMカードと何が違うのか
- eSIMに変えるメリット・デメリットは何か
- 自分のスマホでeSIMが使えるのかどうか
本記事では、eSIMの基本的な仕組みから、メリット・デメリット、対応機種、設定方法まで、初めての方にもわかりやすく解説します。
この記事のポイント
- eSIMは端末に内蔵された「デジタル型のSIM」で、物理カードの抜き差しが不要
- オンラインで手続きが完結し、最短即日で開通できる手軽さが魅力
- デュアルSIM運用や海外利用など、使い方の幅が広がる
目次
eSIMとは:端末内蔵型SIMの基本を理解する
eSIMとは、スマートフォンやタブレットに最初から埋め込まれている「デジタル型のSIM」です。従来のSIMカードのように物理的なカードを端末に挿入する必要がなく、オンラインで契約情報をダウンロードするだけで通信サービスを利用できます。
eSIMの正式名称と意味
eSIMは「Embedded SIM(エンベデッド・シム)」の略称です。「Embedded」は「埋め込まれた」という意味で、端末の製造時にあらかじめチップが組み込まれています。
そもそもSIMとは「Subscriber Identity Module(加入者識別モジュール)」の略で、電話番号や契約者情報が記録された「通信の鍵」のようなものです。SIMがなければ、スマホで電話をかけたりインターネットに接続したりできません。
eSIMでは、この「通信の鍵」の情報をインターネット経由で端末に書き込みます。物理的なカードを受け取る必要がないため、申し込み後すぐに利用を開始できる点が大きな特徴です。
2021年には総務省が「eSIMサービスの促進に関するガイドライン」を策定し、eSIMの普及を後押ししています。対応端末も年々増えており、2025年9月に発売されたiPhone17シリーズでは物理SIMスロットが廃止され、eSIM専用仕様となりました。今後、eSIMがスマートフォン利用の主流になっていくと見込まれています。
従来のSIMカードとの違い
SIMカードとeSIMの最大の違いは、「物理的なカードが必要かどうか」です。
| 項目 | SIMカード | eSIM |
|---|---|---|
| 形態 | 物理的なICチップカード | 端末内蔵のデジタルデータ |
| 入手方法 | 店頭受取または郵送 | オンラインでダウンロード |
| 開通までの時間 | 数日〜1週間 | 最短即日(数十分の場合も) |
| 紛失・破損リスク | あり | ほぼなし |
| 機種変更時 | カードを差し替える | 再設定が必要 |
SIMカードは契約時に通信キャリアから物理的なカードを受け取り、端末のスロットに挿入します。カードのサイズには標準SIM(25×15mm)、microSIM(15×12mm)、nanoSIM(12.3×8.8mm)の3種類があり、現在はnanoSIMが主流です。
一方、eSIMは端末内蔵型なので、SIMカードのようなサイズの違いを気にする必要がありません。専用のQRコードを読み取るか、キャリアのアプリを使って契約情報(プロファイル)をダウンロードするだけで設定が完了します。
eSIMの5つのメリット
eSIMには、従来のSIMカードにはない便利な特徴があります。ここでは、eSIMを使う5つのメリットを紹介します。
オンライン完結で最短即日開通
eSIM最大のメリットは、申し込みから開通までのスピードです。
従来のSIMカードでは、オンラインで申し込みをしても物理的なカードが郵送されるまで数日から1週間程度待つ必要がありました。店頭で契約する場合も、待ち時間や手続きに時間がかかります。
eSIMなら、契約から利用開始まですべてオンラインで完結します。本人確認が完了すれば、契約情報をダウンロードしてすぐに利用を開始できます。キャリアによっては、申し込みから数十分で開通することも可能です。
「今すぐスマホを使いたい」「月末ギリギリで乗り換えたい」といった場面でも、eSIMなら柔軟に対応できます。
紛失・破損のリスクがない
eSIMは端末に内蔵されているため、物理的なトラブルとは無縁です。
SIMカードは非常に小さく薄いため、取り扱いには注意が必要です。キャリアの乗り換えや機種変更でカードを入れ替える際、うっかり紛失してしまったり、接触部分に傷がついて読み取れなくなったりするケースがあります。
eSIMなら、カードを抜き差しする作業自体が発生しません。端末を分解しない限り、SIMに触れることはないため、破損や紛失による再発行手数料が発生する心配もありません。
デュアルSIMで複数回線を使い分けられる
eSIM対応端末の多くは、1台で2つの回線を使い分ける「デュアルSIM」に対応しています。
デュアルSIMとは、物理SIMカードとeSIMを併用したり、複数のeSIMを切り替えて使ったりする機能です。これにより、以下のような使い分けが可能になります。
- 仕事用とプライベート用:1台のスマホで2つの電話番号を持ち、用途に応じて使い分け
- 通話とデータ通信の分離:通話は大手キャリア、データ通信は格安SIMでコストを抑える
- 通信障害時のバックアップ:メイン回線に障害が発生しても、サブ回線で通信を確保
2つの回線を持つことで、万が一の通信障害時にも安心です。たとえば、ドコモ回線をメインで使いながら、au回線のeSIMをサブとして契約しておけば、片方の回線に障害が起きてもスマホが使えなくなる事態を防げます。
海外でもスムーズに利用できる
海外旅行や出張の際、eSIMは現地での通信手段として非常に便利です。
従来、海外でスマホを使うには、空港でプリペイドSIMカードを購入するか、海外データローミングを利用するかが一般的でした。プリペイドSIMは価格が安い反面、現地で購入・差し替えする手間がかかります。データローミングは手軽ですが、料金が高くなりがちです。
eSIMなら、渡航前に現地キャリアのプランをオンラインで契約し、プロファイルをダウンロードしておけます。到着後すぐにインターネットに接続できるため、空港からホテルまでの移動に必要な地図アプリやタクシー配車アプリをすぐに使えます。
日本で使っている電話番号はそのまま残しておき、データ通信だけ現地のeSIMプランに切り替えることも可能です。SIMカードを入れ替える必要がないため、紛失のリスクもありません。
機種変更・乗り換えの手続きが簡単
キャリアの乗り換えや機種変更の際も、eSIMならスムーズに手続きできます。
SIMカードの場合、乗り換え時には旧キャリアにカードを返送する必要があることもあります。機種変更の際は、カードのサイズが異なると再発行が必要になるケースもあります。
eSIMは物理的な返却が不要で、カードサイズを気にする必要もありません。iPhoneでは「eSIMクイック転送」という機能を使って、旧端末から新端末へSIMの設定をワイヤレスで移行することもできます(ただし、一部の格安SIM事業者では利用できない場合があります)。
eSIMの注意点・デメリット
eSIMには多くのメリットがある一方で、利用前に知っておきたい注意点もあります。
対応機種・キャリアが限られている
eSIMを利用するには、eSIM対応の端末を持っている必要があります。
近年発売されたスマートフォンの多くはeSIMに対応していますが、古い機種では利用できない場合があります。eSIMに対応している主な機種は以下のとおりです。
iPhoneの対応機種
- iPhone XS・XRシリーズ以降のすべてのiPhone
- iPhone SE(第2世代以降)
Androidの対応機種(一例)
- Google Pixel 4以降
- AQUOS R7以降
- Xperia 1 IV以降
- OPPO Reno7 A以降
また、通信キャリア側もすべてがeSIMに対応しているわけではありません。大手キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイル)やオンライン専用ブランド(ahamo・povo・LINEMO)、一部のMVNO(IIJmio・mineoなど)は対応しています。ただし、すべての格安SIMがeSIMに対応しているとは限りません。
契約を検討しているキャリアがeSIMに対応しているか、公式サイトで事前に確認しておきましょう。
機種変更・故障時に再設定が必要
eSIMは端末にプロファイルを直接書き込む仕組みのため、機種変更や端末故障時には再設定が必要です。
SIMカードであれば、古い端末から新しい端末にカードを差し替えるだけで済みます。しかしeSIMの場合は、キャリアから再度QRコードを取得するか、アプリで再設定を行う必要があります。
この手続きには時間がかかることもあり、急いでスマホを使い始めたい場面では不便に感じるかもしれません。また、キャリアによっては再発行に手数料がかかる場合もあります。
eSIMを利用する際は、機種変更時の手順をあらかじめ確認しておくと安心です。
開通時にWi-Fi環境と別端末が必要な場合がある
eSIMの開通手続きでは、Wi-Fi環境が必要になります。プロファイルをダウンロードするためにインターネット接続が必要だからです。
自宅にWi-Fiがあれば問題ありませんが、そうでない場合はWi-Fiが使える場所を探す必要があります。
また、開通時にQRコードを読み取る方式を選択する場合、QRコードを表示するための別端末(パソコン・タブレット・別のスマホなど)が必要になることがあります。キャリアによっては、スマホ1台だけで専用アプリを使って設定できる場合もあるため、事前に開通手順を確認しておきましょう。
eSIMがおすすめな人・向いていない人
eSIMのメリット・デメリットを踏まえて、どのような方にeSIMが向いているのかを整理します。
eSIMが向いている人
すぐに開通したい方 申し込み後、SIMカードの郵送を待たずに当日中に開通できます。急な出張や旅行の前でも、すぐに回線を用意できます。
複数のSIMを使い分けたい方 デュアルSIM対応端末であれば、仕事用とプライベート用、国内回線と海外回線など、2つの回線を1台で管理できます。
海外によく行く方 渡航前に現地キャリアのeSIMを契約しておけば、到着後すぐにインターネットを使えます。SIMカードの購入・差し替えの手間がかかりません。
通信障害に備えたい方 メイン回線とは別のキャリアのeSIMをサブとして持っておけば、通信障害時でも連絡手段を確保できます。
オンライン手続きに抵抗がない方 eSIMの契約・開通はすべてオンラインで完結します。ECサイトでの買い物やサブスクの契約に慣れている方なら、戸惑わずに手続きを進められるでしょう。
eSIMが向いていない人
古い端末を使い続けたい方 eSIM非対応の機種では利用できません。2018年以前に発売された端末や、一部のAndroid端末は非対応の場合があります。
オンライン手続きに不安がある方 eSIMは店頭でのサポートを受けにくい面があります。対面での説明を受けながら契約したい方は、SIMカードの方が安心かもしれません(ただし、キャリアによっては店頭でeSIMの開通サポートを行っている場合もあります)。
Wi-Fi環境がない方 開通時にWi-Fi接続が必要なため、自宅やカフェなどでWi-Fiが使えない環境では設定が難しくなります。
eSIMの設定・開通手順
eSIMの申し込みから利用開始までの流れを確認しておきましょう。
事前準備
eSIMを契約する前に、以下の準備をしておくとスムーズです。
用意するもの
- eSIM対応端末
- Wi-Fi環境(インターネット接続)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 支払い情報(クレジットカードなど)
- QRコード表示用の別端末(必要な場合)
- MNP予約番号(他社から乗り換える場合)
特に重要なのがWi-Fi環境です。プロファイルのダウンロードにはインターネット接続が必須なので、安定したWi-Fi環境を事前に確保しておきましょう。
SIMロックの確認 2021年10月1日以降に発売された端末は、原則としてSIMロックがかかっていません。ただし、それ以前に購入した端末をお使いの場合は、SIMロック解除が必要な場合があります。契約中のキャリアでSIMロックの有無を確認しておきましょう。
開通の流れ
一般的なeSIMの開通手順は以下のとおりです(キャリアや端末によって多少異なります)。
Step 1:キャリアの公式サイトで申し込み SIMの種類で「eSIM」を選択し、希望するプランを選んで申し込みます。本人確認は、マイナンバーカードのICチップを読み取る方式(JPKI)などでオンライン上で完結できます。
Step 2:QRコードまたはアクティベーションコードを受け取る 申し込み完了後、メールやアプリで開通用のQRコード(またはアクティベーションコード)が届きます。
Step 3:eSIMプロファイルをダウンロード スマホの設定画面から「モバイル通信」「eSIMを追加」などを選択し、QRコードをカメラで読み取ります。画面の指示に従ってプロファイルをダウンロードします。
Step 4:ネットワーク設定を行う iPhoneの場合はAPN設定プロファイルをインストールし、Androidの場合はAPN設定を手動で行います。デュアルSIM運用の場合は、どちらの回線をデータ通信に使うか指定します。
Step 5:動作確認 Wi-Fiをオフにして、4G/5Gのアンテナマークが表示されることを確認します。Webサイトが問題なく閲覧できれば開通完了です。
接続できない場合は、スマホを再起動してみてください。それでもつながらない場合は、設定内容を再確認するか、キャリアのサポートに問い合わせましょう。
まとめ
eSIMは、端末に内蔵されたデジタル型のSIMです。物理的なカードの抜き差しが不要で、オンラインで契約情報をダウンロードするだけで通信サービスを利用できます。
最大のメリットは、申し込みから開通までがオンラインで完結し、最短即日で利用を開始できる点です。紛失や破損のリスクがなく、デュアルSIM運用で複数回線を使い分けたり、海外でスムーズに現地回線を使ったりできる柔軟性も魅力です。
一方で、対応機種やキャリアが限られていること、機種変更時に再設定が必要なことは知っておきたい注意点です。eSIMを検討する際は、お使いの端末が対応しているか、希望するキャリアがeSIMを取り扱っているかを事前に確認しておきましょう。
eSIMの仕組みとメリット・デメリットを理解した上で、ご自身のライフスタイルに合った通信手段を選んでみてください。
参考文献
- 総務省「eSIMサービスの促進に関するガイドライン」 https://www.soumu.go.jp/main_content/000764914.pdf