経済格差大国インドネシアのスマホ事情とクラウドサービスの普及

ITテクノロジーの成長は、先進国よりもむしろ新興国の中によく表れています。ASEANの大国であるインドネシアでは、大きなROM容量のスマートフォンを購入する代わりにクラウドストレージサービスを積極的に利用するという動きがあるようです。
【公式】カシモWiMAX 経済格差大国インドネシアのスマホ事情とクラウドサービスの普及

クラウドサービスは、もはや現代人にとって必需のものとなりました。

この記事では、経済成長著しいインドネシアを例に「市民とクラウドサービス」について考えたいと思います。

スマートフォンが急速に普及したこの国では、中央政府が市民に対してクラウドサービスの利用を推し進めているという側面があるようです。

インドネシアの「ROM事情」

インドネシアは、2億5000万の人口を抱えたASEAN域内の大国です。

大国インドネシア

メルカトル図法

我々が普段見ている世界地図は、ベルギーのゲラルドゥス・メルカトルという人が製法を開発したものです。

このメルカトル図法の地図は船乗りにとっては非常に見やすいものですが、極地に行けば行くほど実際より大きく描かれてしまうという欠点があります。

逆に言えば、赤道直下の国々は実際より小さく見えてしまうということです。

インドネシアの最西端と最東端の直線距離は、東京とジャカルタのそれよりもまだ長いことはあまり知られていません。

そのような国で、いきなりスマートフォンが普及し始めました。

日本とインドネシアの「違い」

2000年代、すでに日本人の多くはデジタルカメラというものを所有していました。

携帯電話もありますし、それとは別にPCも持っています。携帯型音楽プレーヤーも珍しいものではありません。

ですが、それは経済先進国の中の話。大統領がメガワティ女史からユドヨノ氏に変わったあたりの頃のインドネシアは、首都ジャカルタの最低法定賃金が月100ドル程度という状態でした。

その中で、様々な電子機器を揃えることは極めて難しいことです。

ですが2010年代に入ると、人々の生活シーンにスマホというものが登場します。スマホはじつに便利です。

デジカメ、音楽プレーヤー、携帯電話、PC、それらすべてが一体になっています。

さらにAndroid OS搭載端末が100ドル程度の値段で販売されるようになると、都市部はおろか農村部にまでスマホが行き届くようになります。

ですがここで、ひとつの問題が発生します。それは「ストレージ問題」です。

「ROM8GB」は今も当たり前

インドネシアで販売されているスマホは、日本のそれよりもかなりバリエーションが豊富と言えます。

それは、現地市民の経済階層に由来します。平均的日本人と同じだけの収入レベルの市民は、いわゆるアッパーミドルクラス。

もちろん、そうした人は少数派です。現在のジャカルタの最低法定賃金は日本円換算でようやく3万円に届いたばかり。

米ドル換算では約270ドルです。その経済レベルで一家を養っている人のほうが多数派と言えます。

だからこそスマホも、10万円超えのiPhoneから1万円程度のローエンドモデルまで様々な機種が市場に流通しています。

安い製品になると、ハード面で高望みはできません。RAM1GB、ROM8GBの機種がこの国では今も活躍しています。

さて、問題はROMです。8GBでは、プリインストールのアプリですでに容量の大半を占めてしまっているということがあります。

もちろん、それに備えてMicro SDカードで容量を拡張することはできます。しかし「Micro SDカードを買わなければならない」という手間も発生します。

また、もしスマホを紛失してしまったらどうでしょうか?

インドネシア人は、思い出を大切にする国民性。あらゆる場面で集合写真を撮ります。

SNSにアップしていない限り、それが一気になくなってしまうのです。さらに、最近ではスマホを使ってビジネスをする個人事業主も増えています。

仕事をするために欠かせないデータが、スマホ紛失という一度の不幸で永遠に失われてしまいます。

接近するGoogleと中央政府

2017年には、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領が、ミャンマーのロヒンギャ難民問題に関する声明発表をGoogleドライブで行ったということがありました。

動画をGoogleドライブ上に共有するという形で、政府の意向を明らかにしました。

ジョコ大統領とGoogleドライブ

これに関して、現地のテクノロジーメディアが大きく取り上げました。

動画ならばYouTubeでの配信が手っ取り早いのに、なぜかジョコ大統領はGoogleドライブを利用しました。

その後、ジョコ大統領は改めて動画をYouTubeにアップしています。

この出来事は、インドネシア国民に対して「クラウドストレージの存在」を広く伝えるきっかけになったと筆者は考えています。

そもそも、ジョコ大統領はこうしたテクノロジーに対して開明的な人物。スマホアプリを使った中小ビジネスの振興を後押ししています。

もし国民がジョコ大統領に倣ってGoogleドライブを利用すれば、スマホ紛失時のデータ回復が可能になります。

また、あらゆるデータをクラウドストレージに任せれば、結果的にスマホの価格も安くなっていきます。

iPhoneもそうですが、ROM容量が増えれば増えるほど本体価格は高くなります。

ですが先述の通り、インドネシアでは今でもROM8GBの機種が頑張っています。

それを克服するとしたら手段はふたつ、国民の可処分所得を大幅に上げる政策を打ち出すか、クラウドストレージを普及させるかです。

Googleの「租税回避問題」

2016年に公開された「パナマ文書」というものがあります。

実はこのパナマ文書は、インドネシアでのクラウドストレージ普及に大きな関係があります。

この漏洩事項は、全世界の一般市民に「大企業と法人税」の問題を意識させました。

パナマを始めとする租税回避地(タックス・ヘイブン)に会社登記すれば、各国の法人税を回避することができるというものです。

インドネシアでもこの問題が大きく取り上げられました。

当然、国民は怒ります。なぜ大企業は税金を払わないんだ、と。至極真っ当な怒りです。

この時、国民の目は世界的IT企業に向けられます。Googleインドネシアの収益は、シンガポールにあるアジア太平洋本部の会計に計上されているという疑いが浮上しました。

そうである以上、Googleはインドネシア当局に対して法人税を払う必要はないということです。

2016年は、Googleとインドネシア政府の泥沼の争いに突入しました。

2015年度分の追徴課税の額について、折り合いがつかなかったのです。

しかし翌17年になると事態は好転し、ひとまずの合意に至ります。この年の11月に、ようやく2015年分法人税の納付が完了しました。

ジョコ大統領のGoogleドライブによる声明発表は、まさにその最中の出来事です。

政府からして見れば、GoogleにはYouTuber向けのスタジオなどを国内に作ってほしいという思惑があります。

「実益を上げている施設」がひとつでも存在すれば、もはや同国の法人税を回避することはできないからです。

それはクラウドストレージに対しても当てはまります。

ウィンウィンの関係性を目指す

今後、インドネシア国民がGoogle提供のサービスを積極的に活用していけば、「Googleは現地でビジネスをしている」という既成事実ができます。

それは結果として、Googleに対しても大きな利益をもたらします。

タックス・ヘイブンの実態が明るみに出た以上、もはや各国で租税回避を続けることは現実的ではなくなりました。

これからは、インドネシアでもクラウドストレージが「当たり前のもの」になっていくでしょう。

ビジネスシーンにおいても必須のものになりつつあります。Googleアカウントがあれば、世界中の企業とデータのやり取りができるのです。

ただし、それに対して今度は日本人がついていけるかという問題が出てきます。

クラウドストレージはスマホ本体のROM容量を消費しないという利点がありますが、同時に大容量のデータを常に送受信しなければならないという側面があるのも事実です。

まとめ

インドネシアのスマホは、いわゆるプリペイド式が主流。

いざとなったら度数を継ぎ足せばいいのですが、日本の場合は通信会社から月毎の使用データ量を制限されています。

そうなると、どうしても両者のレスポンスに差が出てしまいます。これに関する解決策は、我々自身が考えなくてはなりません。

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公開日時 : 2018年10月30日

澤田真一 ― ライター
澤田真一 ― ライター

各メディアで最先端テクノロジー、経済情報などを執筆。クラウドファンディング発の製品情報も取り扱う。現役グラップラーで、国際大会出場も経験。

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