LINEだけじゃない!世界のメッセンジャーアプリよもやま話

BBM、WhatsApp、Telegram。これらは世界で広く普及しているメッセンジャーアプリです。今回の記事では、3つのアプリの背後にある歴史やエピソードをご紹介します。
新作iPhone先行予約方法 LINEだけじゃない!世界のメッセンジャーアプリよもやま話

メッセンジャーアプリ。この「道具」は、我々現代人の生活を大きく変えました。

メールほど長文ではない文章を瞬時に送ることができるため、プライベートはおろかビジネスにも活用することができます。もはやメッセンジャーアプリのない現代生活は成立し得ないと言ってもいいほどです。

ですが、各国によりメッセンジャーアプリの普及度合いはだいぶ違うようです。

世界のメッセンジャーアプリ

LINEはマイナーなアプリ!?

日本で最も普及しているメッセンジャーアプリはLINEです。

LINEは豊富なスタンプを揃え、どちらかと言えばポップな印象のあるアプリ。ですがもちろん、ビジネスシーンにおいても広く活用されています。

ところが、このLINEはアジア圏において大きなシェアを誇るものの、欧米では登録ユーザー数に伸び悩んでいるのが現状です。

アジアと欧米では、スマートフォンの普及の歴史に差異があります。我々日本人は「スマートフォン普及の根源」といえばAppleのiPhoneを連想しますが、それ以前に欧米ではBlackBerryが普及していました。

メッセンジャーアプリの先駆け「BBM」

本体に小さな物理キーボードを搭載した機種で知られるBlackBerryですが、2000年代の日本では一部のマニア以外にまったくと言っていいほど受け入れられませんでした。

このBlackBerryが好評を得ていた理由は、ハッカーでも頭を抱えるほどの堅牢なセキュリティーです。各国の政治家や高級軍人などもBlackBerryを持っていました。アメリカのバラク・オバマ前大統領もそのひとりです。

筆者も過去の取材で経験がありますが、一国の首脳はよく直前でスケジュールを変更します。たとえば「午後9時に羽田空港にエアフォースワンが来る」という事前情報が入っていたのに、結局はその日の午前にエアフォースワンが横田基地に着陸していたというようなこともあります。もちろんこれは、警備上の対策のひとつです。そこまでやらなければならないのですから、大統領の持つスマホにも絶対的なセキュリティー対策を施します。

オバマ氏は2009年から2016年まで、特別仕様のBlackBerryを所持していました。そして、それらの実績に基づいたBlackBerry Messenger(以下BBM)はメッセンジャーアプリの金字塔を築いたと言えます。

このBBMは、BlackBerry端末にプリインストールされています。各端末に配られているPINを知ってさえいれば、誰とでも接続することができるという特徴をBBMは持っています。その手軽さと短文に特化したチャット、無料通話機能、そしてそれらを暗号化する盤石のセキュリティーシステムが、世界中の人々に支持されました。BBMの「固い扉」に関しては今も評価は変わらず、ある国の中央政府は「テロリストを監視できない」と嫌がっているそうです。

新興国では「PCより手軽なネット接続端末」として、BlackBerryとそれに付随するBBMが一気に普及しました。

BlackBerryの衰退

しかし、2007年に大事件が起こります。AppleによるiPhoneの発表です。

スティーブ・ジョブズは「スマートフォンを開発した人物」というわけではありません。今まであった製品から、自分自身が好まないものを徹底的に省いたのが彼の功績です。ジョブズにとって、BlackBerryの物理キーボードはスマートではなく、代わりにすべての操作をタッチパネルで行うという手段を採用しました。ちなみにこの当時、BlackBerry端末はまだタッチパネルを導入していません。

iPhoneは急速にシェアを拡大し、同時にBlackBerryを陳腐化させてしまいます。その衰退の速度はあまりに急激で、イギリスのコメディ番組のネタにされてしまったほどです。

それでも、BlackBerryにはBBMという武器がありました。これはBlackBerry端末にプリインストールされているもので、それ以外のスマホには配信されていませんでした。

ところが2013年、ついにBBMがAndroidとiOSに互換化されます。こうなると、ユーザーはBBMのためにBlackBerry端末を購入する必要がなくなります。

逆に言えば、BBMはそれだけ優れたメッセンジャーアプリということです。使い勝手はLINEに先駆けるもので、今でも全世界に1億人以上のアクティブユーザーが存在します。

頂点に君臨した「WhatsApp」

電話番号と連携するアプリ

BlackBerryは「平家物語」のような端末なのかもしれません。

平清盛は平治の乱で源義朝を打ち負かし、天下に覇を唱えました。ですがその後は長続きせず、平家は衰退の道を突き進んでいきます。

BBMが平家とするならば、さしずめWhatsAppは源氏。BlackBerryの勢いに陰りが見え始めた2009年にこのWhatsAppが登場しました。

WhatsAppの最大の特徴は、スマホに保存されている電話帳からユーザーを探すという点です。相手の電話番号さえ知っていれば、いつでもチャットを開始できます。BBMのようなPIN入力すら必要ありません。反面、やり取りの暗号化については長らく指摘がありました。その不安点から、WhatsAppの利用を敬遠する人もいます。

世界10億人の連絡手段

とは言うものの、やはり接続の手軽さは世界中の人々に受け入れられました。業者が顧客に対する連絡を行うのに、メールや電話ではなくWhatsAppを使うということもよくあります。「電話番号を教えてください」と問われれば、それは「WhatsAppで連絡してもいいですか?」と質問されているのと同義になるほどです。

一昨年、WhatsAppは全世界10億人のユーザーを獲得したと発表しました。もちろん、この数字は今に至るまで伸びています。全世界規模で見れば、アクティブユーザー数は7人にひとりの割合とのこと。

海外の友人にはWhatsAppをインストールしていないことに驚かれることもあります。このアプリは、それだけ普及している連絡手段なのです。

台頭する「Telegram」

セキュリティーに自信

最後にご紹介するのは、ロシア発のメッセンジャーアプリであるTelegram。

これもまた、日本では知られていないアプリです。しかし国際ニュースをチェックする上で、このTelegramは欠かせない存在となりました。なぜでしょうか?

先ほど、BBMが高度なセキュリティー性に基づいていると書きました。Telegramはそれに勝るとも劣らない堅牢なアプリとして知られ、またそれを社内の誇りにしています。

Telegramの運営者が「我々はユーザーがどのような会話をしているのか、まったく知らない」と公言したことがあります。もちろんそれは、胸を張って言った言葉です。ユーザーとしては、非常に心強い発言ではあります。

「バックドア」を拒む

しかし、このTelegramがテロ組織の連絡ツールとして利用されて、国際的なニュースにたびたび登場することになりました。テロ組織の情報を開示するために、再三公的機関から「バックドア(セキュリティーを解除する裏口)」を設けるように要請を受けました。しかし「バックドアをつくることは、一般ユーザーの情報も危機に晒してしまうこと」として、拒否をしています。テロ組織の連絡ツールを遮断するために、Telegramのアクセス自体をブロックする国もあります。

まとめ

今回は「世界のメッセンジャーアプリよもやま話」ということで、日本ではあまり知られていない3つのアプリをご紹介しました。

今年に入り、Telegramが新規仮想通貨の公開を行うということが大変な話題になっています。今まで培ってきたセキュリティー技術を活かし、仮想通貨事業に参入するメッセンジャーアプリも出てきました。当然、仮想通貨にとって強固なセキュリティー性は欠かせないものです。

こうした流れは、いずれ日本にも影響を及ぼすかもしれません。

【公式】カシモWiMAX

公開日時 : 2018年03月08日

澤田真一 ― ライター
澤田真一 ― ライター

各メディアで最先端テクノロジー、経済情報などを執筆。クラウドファンディング発の製品情報も取り扱う。現役グラップラーで、国際大会出場も経験。

関連キーワード